- キラが仕事に戻るからと去った後も、ミライは1人展望室に残っていた。
- 窓に手をついて映る星を眺めながら、キラの言ったことを思い返す。
- 一体父は自分に何を教えようとしているのか。
- 自分にはまだ見えていないものがある、と父は言った。
- それが何なのかということを必死に考えてみるが、その答えはみつからない。
- 父の期待に応えられていないことを思うと、それが悲しくもあり、俯いて深い溜息を吐く。
- そこにエミリオンがやって来た。
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- 「キラ様に叱られましたか」
-
- 落ち込んだ様子のミライに、努めて明るく声を掛ける。
- 状況から彼女が孤立していることは分かっていたことだ。
- だからせめて自分だけでも彼女の味方であればと考えた。
- MSパイロットでないエミリオンは、ミライのことを迷惑で勝手な奴だとは思っていなかったから。
-
- ミライの方もエミリオンのことはよく知っている。
- 彼女が事務所で仕事をしていた時からの顔見知りだ。
- ミライはキラとラクスの娘と言うことで、ちょくちょく本部施設に入り込んでは、事務員達とお喋りをしていた。
- エミリオンもその相手の1人。
- 今この状況に置いては、ザイオン以外の唯一の知り合い、友達と言っていいだろう。
-
- ミライは安堵感から苦笑を浮かべると、エミリオンの問い掛けに答える。
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- 「いえ、叱られたわけではありませんが、まだ戦うことの意味を理解していないと、フリーズに乗ってそれを学んで来いと、言われましたわ」
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- そして視線をまた窓の外へと移す。
- その表情は普段の明るいものとは違って、どこか自虐的な色に染まっていた。
- 父に自分の思いを否定されたのが、相当ショックだったようだ。
- ミライの答えに、エミリオンは驚いて目を見開いた。
- ミライの見せた表情にではなく、返ってきた答えがあまりにも予想外だったため。
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- 「私が軍部に志願した時は、ラクス様に反対されたんですけどね」
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- 思わず顎に手を当てて考え込む仕草を見せながら、当時のことを思い返す。
- 声を大にして、というわけではなかったが、自分が志願した時のラクスの瞳は、あからさまに悲しそうだった。
- それはESPEMに所属することになった時から、ラクスのエミリオンに対する態度は一貫していた。
- 自分の憎しみを相手にぶつけるな。
- それ以上敢えて悲しみの溢れる戦場に赴かなくても良いと。
- そんなエミリオンを軍部に所属させなかったのは、もう敢えて戦場に出る必要は無いと、ラクスなりの気遣いのつもりだったのだが、エミリオンはそれでも必要な知識を身につけ、こうしてケルビムに乗り込んだのだ。
- ひょっとしたらラクスに呆れられたかも知れないなと思いながらも、自分の中にある強い気持ちに逆らうことはできず、また最終的にはその気持ちを尊重してくれたから、今こうしてここに居る。
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- そんなエミリオンの中では、当然ミライがMSパイロットとして勝手に戦場に出たことを叱り、反対するものだとばかり思っていた。
- だがキラは、フリーズのパイロットとして戦場に行けと言ったという。
- どうしてミライ様には反対しなかったのかしら、とエミリオンの中にも疑問として残る。
- まさか自分の娘が可愛くないわけではないだろうに。
- だがエミリオンが心の師と崇めるラクス、そのラクスが全幅の信頼を置く夫キラのことだから、自分には分からない何か深い考えがあるのだろう、とあっさり思考を手放す。
- そして目的はミライのことを励ますことにあると言い聞かせる。
- 考えても分からないことは深く考えない。
- それが切り替えの早いエミリオンの良さであり、くよくよしない明るさだった。
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- ミライもエミリオンに対する母の態度と、自分に対する父の態度が異なることに、不思議そうに目を見開いてエミリオンを見つめていたが、エミリオンはにっこりと笑みを見せると、唐突に別の話題を振って、話を誤魔化した。
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- 「でも御2人には、私達の考えも及ばないものをお持ちですから、きっと深い意味があるんですよ。それより、ミライ様は地球へ降りるのは初めてですか?」
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- ミライはまだ何か聞きたそうだったが、エミリオンの質問に素直にいいえ、と答える。
- そこからエミリオンは地球での思い出や印象について、あれこれと語り始める。
- それに釣られて少し元気を取り戻したミライは、エミリオンの出身について尋ねる。
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- 「そう言えば、エミリオンさんは地球のご出身でいらっしゃるとお聞きしていますが」
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- 確かにミライも地球には何度か行った事はある。
- しかしそれはラクスの仕事についていっただけで、あまり観光などはしたことがない。
- そして訪問した先はほとんどがオーブだ。
- だから、これから向かうと言う砂漠地帯の様子については、テキストで読んだ知識程度しか無い。
- 元々好奇心旺盛で活発な彼女だ。
- キラの言った事は頭の片隅にありながらも、次に興味を持ったことに、貪欲に知的好奇心を満たしたい気持ちの方が勝っていた。
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- 「エミリオンさんのご出身地は、オーブとも、これから赴く砂漠地帯とも大分違うのですか?」
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- ミライの問い掛けに、そうですねえ、エミリオンは懐かしそうに天を仰ぐ。
- だがその表情は苦しげでもあった。
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- 自分は見たことは無いが、母が自分を身ごもっていた時、故郷であるベルリンは大変な虐殺にあったと。
- 街がただ焼土ど化したなど、誰が想像つくというのか。
- 物心ついた時もまだ、その爪痕は生々しく残り、あちこちで焼け焦げたビルの壁や、爆発で生じた穴があり、子供達はそこを遊び場にしていた。
- また母もその時の怪我が元で幼くして亡くなり、戦争への嫌悪を強くしたのだ。
- だから自分はESPEMに入って、戦う道を選んだ。
- 戦争を無くす戦いをするための道を。
- 二度と自分と同じ思いを、他の誰にもして欲しく無かったから。
- ラクスがその思いを汲み取ってくれたから、特例的にESPEMに入ることを許されたのだった。
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- エミリオンの話を聞いて、ミライの胸に鈍い痛みが走る。
- その時に苦しい思いをした人がたくさんいるということを思うと、悲しく辛い気持ちになり、改めて戦争は無くさなければならないものなんだと思う。
- しかしその胸の痛みの正体が、この時はまだきちんと理解できないでいた。
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PHASE-16 「反乱」
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- 深淵の闇の中に、青く輝く地球がゆっくりと浮かび上がる。
- 何度見ても美しい光景だと、キラはモニタを感慨深い様子で見つめる。
- ESPEMの立ち上げやらでここ数年は地球に行っていないが、自分にとって大切な姉と親友、親も住まう大切な場所だ。
- それだけでも、この宇宙に地球が存在していることが素晴らしい奇跡のようにも思えるのだ。
- そして改めて、この美しい星の上で同種で戦争などをしていることの愚かさに胸を痛め、それを止めるために戦うことを決意するのだ。
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- 艦長席に腰を下ろしたまま、目の前のモニタを凝視して、レイチェルは懐かしい感覚に目を細める。
- 地球生まれ、地球育ちの彼女にとって、あれは命育む母なる星であり、唯一つの故郷なのだ。
- ESPEMに派遣されてまだ1年も経っていないのだが、もう何年も久方振りのような、そんな望郷の念が込み上げる。
- 操舵を握るアールも同じような思いで、目の前の地球を食い入るように見つめている。
- その表情は、どこか安堵したような、安らかなものに包まれている。
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- 一方、ザイオンにとっては初めての地球だ。
- 話には何度か聞いていたが、実際に目の当たりにして、これほど美しいものだとは思わなかった。
- 思わずモニタに釘付けになるほど見惚れ、憧れにも似た思いが胸の中に沸き起こる。
- 初めて見たはずなのに、どこか懐かしいと思うのは何故だろう。
- それは人類が地球で生まれ育ったからだろうかと、ぼんやり考えた。
- しかしそんな感慨に浸る時間は、そうは長くなかった。
- キラが微笑みを浮かべてザイオンの名を呼ぶと、ザイオンはハッと我に返って、地球へ降りるための指示を飛ばす。
- ブリッジは降下シークエンスへ入るための準備に、俄かに慌しくなった。
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- だがその雰囲気に水を差すように、エミリオンが声を上げた。
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- 「ちょっと待ってください。降下ライン上に展開する部隊があります」
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- 言いながらレーダーに映るデータの解析を行い、カメラを最大望遠にしてその方角を映し出す。
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- そこには地球軍の部隊が展開していた。
- 彼らも防衛任務等があるため、部隊を展開していることに不思議は無い。
- だが気になるのは、今このタイミングで、まるでこちらと相対するような形で部隊が配置されている点だ。
- キラ達が事前に降下について通知した時は、降下コース上に地球軍が配備される予定は無いということだったのだが。
- それ故、キラも少し驚いた表情でその映像を見つめ、部隊の指揮官とコンタクトを取るように指示する。
- すぐにエミリオンが通信回線を開き、メインモニタには美しい地球に替わって地球軍の制服を身に纏った男の顔が映し出される。
- 男は寡黙そうな印象を与え、口を真一文字に結んで、通信モニタの向こうからこちらを見ていた。
- キラは厳しい表情で、その指揮官らしい男に問い質す。
-
- 「こちらはESPEMの事務総長秘書官、キラ=ヤマトです。一体これはどうゆうことですか」
-
- 彼にしては珍しく、強い咎めるような口調だ。
- それだけ地球軍の行動に強い不信感を持っているのだ。
-
- 一方の地球軍側のブリッジでは、キラの顔がモニタに映し出されると同時にどよめきが起こる。
- キラの顔と名は地球軍にも広く知れ渡っている。
- その英雄の登場に、若干の戸惑いと不安の色が見え隠れする。
- 指揮官らしき男、カルツ=ヴァズウェルも思わぬ大物からの通信に戸惑ったようだが、それを押し殺すように帽子を被り直すと毅然として答える。
-
- 「我々は如何なる者もここを通してはならないということで、こちらの防衛任務に就いております」
-
- その物言いは、彼が根っからの軍人であることを示している。
- キラでさえ、一目見て融通が利かなさそうだなと印象を持ったほど。
- それはある意味予想通りの返答だった。
- だが自分達の目的は地球へ降りること以外に無いので、それを聞いてはいそうですかと引き返すわけにもいかない。
-
- 「我々はESPEMです。与えられた権限と任務に従って地球に降りなければなりません。通していただきたい」
-
- 暗に自分達の邪魔をするな、という意味も込めて、キラは強く求めた。
- 実際ESPEMはその組織活動の特性から、地球軍であろうとザフト軍であろうと、第三者からの介入やその指示を、場合によっては無視することも強行突破することも出来る権限を持っている。
- キラは目の前の相手の行動を、一部の自分やラクスを気に入らない士官が反乱行為に出たのだろうと推測していた。
- そんな輩はこれまでも珍しくなかったし、相手にするのは時間の無駄だった。
- なので、ここは強行に突破してしまおうと計算を立てた。
- しかしそのキラの考えが見透かされていたように、相手から予想外の言葉が返ってくる。
-
- 「その行為は不法侵入と見なし、我々は貴官らに対して攻撃を行います」
-
- キラは驚きに目を見開く。
- その言葉の意味するところが本当に分かっているのか、と思わず身を乗り出した。
-
- 「ESPEMの部隊の地球への降下、侵入も一切拒否するということです。それが地球軍の決定です」
-
- それに対して、さらに有無を言わせぬ強い口調で、カルツは言い放った。
-
- キラは自分の耳を疑った。
- ESPEMの存在意義とは各国の間に起こる争いを止めさせることであり、そのために、時にその戦いにも介入するためにあり、その裁量の余地はこちらに与えられているはずなのだ。
- 彼の言葉は、地球軍がそれを否定することを決めたと言うことに他ならない。
- キラは納得がいかない表情で食い下がろうとするが、相手はこれ以上の押し問答は不要とばかりに、一方的に通信を切った。
- 思わぬ事態に戸惑った表情を浮かべるザイオンとレイチェル。
- どうすれば良いかと、キラの方をじっと見つめる。
- キラも今の状況を信じられない、といった表情を浮かべているが、とにかく目の前の地球軍を何とか説得するのが、今ここでは自分の仕事だ。
-
- 「とにかく僕が直接行ってもう一度話をしてくる。君達はこのまま待機して」
-
- 言うと、慌しくシャイニングフリーダムに乗り込み、飛び出していくキラ。
- ケルビムからMSが飛び出したことで、地球軍が展開しているウィンダムウェーブ部隊はいつでも攻撃できるようにライフルを構える。
- シャイニングフリーダムの両手を挙げて、戦闘の意志がないことを示すと、銃口が向けられた中を怯まず進むキラ。
- そして旗艦と思しき戦艦に近づくと、通信回線をONにして再び強く訴え掛ける。
-
- 「どうゆうことか説明してください」
-
- 自分がESPEM本部を出る前は、地球軍側にも活動内容を通知して、その了承は受けたはずだった。
- それから数週間と経っていない。
- その間に、地球軍の中で一体何があったというのか。
- 戸惑う気持ちを表情に出さないように気をつけながら、キラは真っ直ぐカルツを見つめた。
-
- 相手が伝説のMSにそのパイロットということで、ブリッジ内にもMSのコックピットに座している兵士達にも緊張が走るが、カルツはあくまで慇懃無礼にキラの質問に答える。
- 視線は僅かに下に下げたまま合わさずに。
-
- 「今地球軍のトップは重要な案件の会議中です。その結論が出るまで、我々の任務は例え貴方々であっても地球に降下させないということです」
-
- それ以上の判断は出来かねます、と突っぱねる。
-
- 尚も言い募ろうとしたキラだが、胸に嫌な予感が過ぎり言葉を飲み込む。
- 地球軍のトップの間では、自分達の知らないところで何か大きな力が働いているらしい。
- そこはあくまで他国の政治的なことで、ESPEMでそこまでは介入できない。
- しかしこのところのブルーコスモスには不穏な動きが多い。
- 新しいバックボーンを得て、再び力をつけてきているのだ。
- それが元大西洋連邦の諸国と裏で接触をしていることもESPEMではキャッチし、その動きには警戒をしている。
- 過去ブルーコスモスが地球連邦政府、及び地球軍を実質掌握し、混乱状態に貶めたのは周知の事実だ。
- そのために大西洋連邦などの大きな連邦諸国は、メサイアでの戦いの後内部の独立や反乱を招き、解体されたという経緯がある。
- そのため国の代表に据える者は、偏った思想を持った者がなってはならないという暗黙の了解があり、ブルーコスモスやデュランダル派の者が国政を預かるということは今のところ無い。
- だが今の状況ではそれは予断を許さないことも確かなのだ。
- そのためラクスは何とかそれを防ごうと、様々な交渉を行っているのだ。
- その努力が無駄に終わることだけは、キラとしては何とか避けたかった。
-
- そこに通信が飛び込んでくる。
- 全世界の緊急回線を通じて、シャイニングフリーダムのコックピットにも、ケルビムのブリッジや食堂のモニタにもその映像が映し出される。
- そこに映っているのは太平洋共和国の大統領エルリックと、地球軍を統治する地球連邦政府の代表理事国首脳の並んでいる姿があった。
- 予想外の事態の連続に一体何が始まるのかと、驚きとも怯えともとれる表情を浮かべるザイオン達。
-
- 食堂ではミライやエデューも、近づく地球の様子に感嘆の息が漏れていた。
- ミライも久方振りの地球に、先ほどのショックは薄れ、心躍るような、そして安らぐようなそんな気持ちが溢れてくる。
- 暗闇の中で眩いほど青い輝きを放つこの星を、何度見ても心から美しいと思う。
-
- エデューにとっては初めての地球だが、いつもの険しい表情は和らぎその心は穏やかなものに包まれていた。
- ただの映像で見るよりも、それはもっと美しく輝いて見えた。
- 自分達の祖先はここで生まれ育った、と言うことを考えると、それはとても壮大な物語のようにも思えた。
- 他のクルーも地球を訪れるのは初めての者は概ね同じような感想を抱き、地球出身の者には懐かしさが込み上げていた。
-
- そこに突然割り込むように映し出された、エルリックの会見の映像。
- 一同は驚き、何事かと食い入るようにモニタを見つめる。
-
- さらにキラはその画面の隅っこに、ブルーコスモスの盟主であるヴォードの姿も確認する。
- この時キラは嫌な予感が当たってしまったことに、戸惑いと落胆の色を隠せなかった。
-
- 「我々地球連邦政府は今後一切、ESPEMの関与、介入を拒否するものと宣言致します。もしESPEMがこれを無視して関与、介入してきた場合は侵略行為と見なし、武装テロ組織と認定して攻撃対象とします」
-
- そんなキラ達の戸惑いを余所に、エルリックは自信に満ちた表情で宣言文を読み上げる。
- 映像の向こうに居る、記者達の間にもどよめきが起こる。
- 続いて一斉に批判めいた怒号が記者席から飛び交う。
- プラント市民だけでなく、地球に住む人達も、ナチュラル、コーディネータに関わらずヤマト派と呼ばれる人達が今の地球圏は9割以上を占めていると言われている。
- それがESPEMの活動を推し進めることができた要因の一つでもある。
- 政治家達は民意を取り込み、権力を手にするには、ESPEMの提案を受け入れざるを得なかったのである。
- 逆に言えば、ESPEMの提案を受け入れなければ、国は乱れ、国民達の反発は必死だ。
- あちこちでデモなどが起こることは、容易に想像できる。
- また一部のナチュラルが暴走し、コーディネータに虐待を加えることも懸念される。
- それだけに、今回の決定がどれほど異常なものか、記者達は事態をよく分かっていた。
- しかしエルリックは記者達を不機嫌そうに一瞥すると言い放った。
-
- 「我々の決定が覆ることはありません」
-
- そして記者達の質問に答えることなく、壇上から姿を消してしまった。
- 理事国首脳達もそれに続いて席を立ち、退席していく。
- 記者達の間からその態度にまた怒号が飛び出すが、エルリック達が再び姿を現すことは無かった。
- それは地球連邦政府が、再びブルーコスモスの手の中に納まったことを示す、歴史的な瞬間でもあった。
-
- その様子を、ある程度は会見の内容を予想していたとは言え、キラは信じられない思いで見ていた。
- 今まで築いてきたものが足元から音を立てて崩れていくような、そんな衝撃を受けていた。
- ようやく手にした平和を、人は何故自ら壊すようなことをする、何故そんなに争いがしたいんだ、と思わず天を仰ぐ。
-
- 一方のカルツはその放送が終了すると、他のクルー達に気付かれないように溜息を吐いた。
- 自分は地球軍の士官であり、命令に従うのが仕事だ。
- しかし今の任務に従うことに、大きな疑問を感じていた。
- これは今の時代に逆行するかのような宣言であるからだ。
- それでも彼の選択肢の中に、命令に背くという選択は無い。
- キラ達が早々に立ち去ることを、祈るように願った。
- それはキラ達の思いと相容れないことを、頭の片隅で理解しながら。
-
- そしてこの会見がキッカケで、時代が平穏を棄て、再び大きなうねりの中に飲み込まれようとしていた。
-
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