- キラ達が通信内容に呆けている間、フォルエンスは不満げな表情でMSのコックピットに座して待機していた。
- エルリックの放送は、地球圏の全ての通信回線を使って行われていた。
- つまり、地球圏の全ての人間がこの放送を見たことを彼は知っていた。
- それに元々はヴォードが提案した話であり、エルリックはそれに乗った形であることを事前に聞かされたから、その内容は聞くまでもなかったのだ。
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- だがフォルエンスにとって、それがどちらの提案かはどうでも良い話だ。
- とにかくこちらの条件はあちらにも示せたはずだ。
- ならば後は、有無を言わずにフリーダムを撃ち落せばそれで済むことなのに。
- 早く戦闘がしたくて堪らないフォルエンスは、いつまでも攻撃命令をくださないカルツに痺れを切らす。
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- 「もうこっちの意志は提示されたんだ。なら後は目障りなフリーダムを叩くだけだろうが」
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- がなりながら、もう待ちきれなくなったフォルエンスが許可も取らずに勝手に出撃してしまう。
- カルツは焦って声を上げる。
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- 「何をしているノットー大佐。まだ出撃命令は出ていない。あちらからの攻撃がないうちにこちらから仕掛けるのは問題だぞ」
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- カルツは好戦的で自分勝手なフォルエンスが、正直嫌いだった。
- 尤もそんなことは間違っても顔には出さないが。
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- 今回も通常任務に就いていた時に彼は突然やってきて、ヴォードとエルリックの連盟書だと言って書面を手渡された。
- そこにはESPEMの地球降下部隊の地球降下阻止を命じる文章が書かれていた。
- 心底驚いた表情でその命令書を見たカルツは、フォルエンスの顔を伺った。
- しかしフォルエンスは小馬鹿にしたような、見下した目と態度で目の前に立っていた。
- その横暴とも思えるフォルエンスの態度は、カルツがもし自分が軍人でなければ命令書を跳ね除け、生身で艦から放り出している、と思うほど怒りを覚えた。
- しかし結局それは実行するに至らず、命令どおりにケルビムの降下ポイント前に艦隊を配置し、フォルエンスは我が物顔で艦に居座っている。
- 上が再びブルーコスモスと手を組むと言った以上、彼は同僚ということになるということで、それは予想された範疇の出来事ではあったが、気持ちの良いものではないことは察して余りある。
- それでもカルツは、何とかこの気に食わない同僚との関係を良好にしようと、心を砕いた。
- しかしフォルエンスは、カルツに全く配慮する様子も無く、一方的に持論を展開して、シャイニングフリーダムへの攻撃の手を緩めようとしない。
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- 「ふん、そんなもの。後であっちが撃ってきたから応戦したと報告すりゃ、世間にはそう伝わるんだよ」
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- 何とも一方的な言い分だが、エルリックやヴォードなら、というよりは『ブルーコスモス』ならやりかねないと、カルツは若干の失望感を覚えながら反論を飲み込んだ。
- どうせ反論したところで、フォルエンスが聞く耳を持たないことは分かりきていた。
- ついにカルツはもう勝手にしろとばかりに、フォルエンスとの通信を切った。
- それをフォルエンスは清々したとばかりに一度首を鳴らすと、真っ直ぐにシャイニングフリーダムを睨む。
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- 「さあフリーダム、本格的に第2ラウンドと行こうか!」
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- 楽しそうに凶暴な笑みを浮かべて、フォルエンスはシャイニングフリーダムに襲い掛かった。
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PHASE-17 「舞い降りる災い」
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- 地球軍がいきなりシャイニングフリーダムに攻撃を仕掛けたことに、ザイオン達は驚き目を見開く。
- 確かにESPEMの拒絶宣言はなされたが、あくまで地球で起こる出来事に介入した場合であって、敵対関係になるという状態にはまだなっていないはずだ。
- 今がその状況にあるとは思えないし、攻撃を受ける覚えも筋合いも無い。
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- 「いきなり攻撃するとは、一体どう言うことですか?」
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- ザイオンが怒り心頭といった表情を浮かべて、通信を繋ぐとカルツに抗議する。
- 色々と予想だにしない事態へと動きつつあるが、自分達の目的を忘れたわけではない。
- 確かに地球に降下したいと言う気持ちに変わりは無いが、今ここで彼らと戦闘する意志など少しも無いというのに。
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- カルツは通信を受けて、あちらの抗議は尤もだろうと思いながらしかしここで自分達の非を認めれば、また外交を含めた複雑な問題になるのは目に見えていた。
- さらに世に知られているヴォードやエルリックの性格を考えると、否、『ブルーコスモス』という組織の思想や行動を考えると、その抗議を受け入れた自分や部下の身がどうなるか分かったものではない。
- 自分だけならまだしも、たくさんの部下を抱える身としてはその部下達まで要らぬ窮地に貶めることは出来ない。
- ブルーコスモスは最早そのようなテロ組織としてのみ、人々に認知されている。
- そのためカルツが取ることはできる行動は限られていた。
- 苦々しい思いを噛み殺して渋面の仮面をその表情に貼り付け、きつい口調で言い放つ。
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- 「フリーダムが攻撃の意志を見せた。よって我々は武力行使の必要があると判断した。速やかに転進されない場合は、攻撃の意志ありとして貴官らに対しても武力による排除を行う」
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- カルツの言葉がいかに詭弁かは、ザイオン達にはよく分かっていた。
- あのキラが自ら攻撃の意志を見せるなどありえないと。
- モニタでもそんな素振りが無かったことは確認している。
- つまり明らかにあちらが難癖をつけて攻撃を仕掛け、また行おうとしているかは明白だった。
- そんな理不尽な言い分があるかとザイオンは噛み付くが、その言葉が届く前に通信は切られた。
- くそっ、と苛立ちを隠さず地団駄を踏むザイオン。
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- そうこうしている間もシャイニングフリーダムとランサープリッツは、激しく銃を撃ち合っている。
- いや、違う。
- ランサープリッツが一方的に撃ち、シャイニングフリーダムがそれを避けているという状況だ。
- キラは攻撃を危なげなく避けているが、まだ迷いがあるのか反撃をする気配すら無い。
- 如何にキラが伝説のパイロットとは言え、このままではジリ貧だ。
-
- そこにミライ達パイロットもブリッジに入ってきて、その様子に驚きの声を上げる。
- 何故キラがいきなり攻撃を受けているのか、特にミライは若干取り乱しながらザイオンに詰め寄る。
- ザイオンが渋い表情で先ほどのやり取りを説明すると、それを聞くなりミライはヒラリと踵を返す。
-
- 「私達も出撃して援護を!」
-
- それだけ言うとブリッジを出て行こうとする。
- さすがのエデューも全く反論せずに、ミライの後に続こうとした。
- しかしザイオンがそれを制する。
- ミライが立ち止まって振り返ると、納得できないと反論する。
-
- 「今我々が下手に動けば、ラクス様のお立場も危うくなります。それにキラさんは伝説のフリーダムのパイロットです。援護に出た方が足を引っ張りかねません。もう少し様子を見ましょう」
-
- ザイオンは努めて冷静にミライを諭した。
- ミライはまだ納得のいかない表情を浮かべているものの、ザイオンの話が理解できないではない。
- 感情は父を助けに行けと叫ぶのだが、理性はそれを押し止める。
- ぐっと言葉に詰まると、その場に立ち尽くしてモニタを見つめる。
- ミライの心境を察しながら、ザイオンはぐっと拳を握り締めて今の歯痒い状況を堪えていた。
- 彼とてキラを助けに行きたい気持ちがあるが、自分の知らないところで世界の情勢が大きく動いた。
- おそらく地球の国家間の勢力図が一瞬で塗り変わるほど。
- 混乱が一気に地球圏の間に広まったのだ。
- こんな状態ではいつどこで誰の行動がESPEMの、世界の情勢を動かす一滴になるか分からない。
- ここはまずは状況をしっかりと見極めるということが、最も重要なことなのだ。
- ミライもそんなザイオンの様子に気がついて、衝動をぐっと堪える。
-
- しかしザイオンが悩んでいる間も、状況は動いている。
- それは決して彼らにとって良い方向ではなかった。
- ケルビムがいつまでも同じ宙域で待機していることが転進の意志無しと見なされたのか、3機のウィンダムウェーブがこちらに銃口を向けて飛んでくる。
-
- その動きをキャッチしたカルツはまた慌ててウィンダムウェーブの行動を制しようとする。
-
- 「応答せよ。パイロットは誰だ。そんな行動は指示していないぞ。勝手に動くな」
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- しかしこの機体に乗っているのはブルーコスモスの息が掛かったパイロットだった。
- カルツの制止を無視してどんどんケルビムへと近づく。
-
- 「ターゲット射程距離に入りました。攻撃しますか?」
-
- ついにライフルのビームが狙えるところまでくると、さらに彼らはカルツに指示を仰がず、フォルエンスに指示を仰いだ。
- カルツはまたも怒りの声を上げようとするが、その前にフォルエンスが冷徹に命令を下す。
-
- 「どうせあれも目障りなんだ。ここで落としてしまって問題ない」
- 「ノットー大佐、貴様!?」
-
- ウィンダムウェーブのパイロット達は、了解と応えると通信を切った。
-
- 「コーディネータは全てこの世から消えてなくなればいい。青き清浄なる世界のために!」
-
- パイロットは血走った目を大きく見開いて、口の両端を持ち上げて嫌らしい、というより、狂ったような笑みを浮かべて彼らの合言葉を叫んだ。
-
- カルツはこの艦隊の指揮官である自分を無視して話を進める彼らに、激しい怒りを覚えた。
- イヤホンを投げつけてそれを露にする。
- そしていかに地球連邦政府の判断が誤りだったかを思い知ることとなる。
- 彼らブルーコスモスは、再び世界に戦争をもたらそうとしていると。
- コーディネータの殲滅と言う愚行を実行するために、地球軍をも取り込んでその私兵として動かすことを。
- カルツはそれでも、自分の命令次第で部下に戦闘をさせないことはまだ可能だと思っていた。
- しかしそれすらも甘い考えであったことを、目の前に突きつけられたのだ。
- カルツは歯軋りをするが、最早今の自分にはどうすることも出来ない。
- 今度は苛立ちにシートの肘掛を、思い切り拳で叩きつけた。
-
- そんなカルツの葛藤と怒りなど露知らず、ウィンダムウェーブのライフルからは躊躇い無く、ケルビム目掛けてビームが放たれる。
- エミリオンは悲鳴のような声で、レーダに映った反応を読み上げる。
-
- 「熱源、来ます!」
-
- その叫びに、アールは咄嗟に舵を倒して船体を傾ける。
- アールの操舵が一瞬早く、辛うじてビームは直撃を避けた。
- しかし船体を掠めて飛んできたビームは、ケルビムに小さくない衝撃をもたらす。
- 船内のあちこちで、クルー達が揺れに驚きと怯えの表情を見せている。
- ブレインからも、MSの出撃はどうするのかと言う問い合わせがくる。
- エデューやレイチェルも出撃すべきだと声を上げる。
- このままやられることも、無条件降伏を受け入れることも、望む者はこの場にはいなかった。
- シャイニングフリーダムだけでなく、艦も狙われたことでザイオンの我慢も限界を超えていた。
- 彼はついに決断する。
-
- 「パイロットはMSで出撃。ケルビムは降下ラインギリギリまで高度を下げつつ、キラさんも回収されるのを待て」
-
- 勢いよく顔を上げると、険しい表情で他のパイロット達同様ブリッジを後にする。
- レイチェルもやる気満々といった表情で艦長席に座してモニタを見据えると、纏わりつくウィンダムウェーブ目掛けてミサイル発射の命令を叫んだ。
-
- ウィンダムウェーブは目掛けて飛んでくるミサイルに狙いを定めると、それを撃ち自分に直撃する前に爆発させる。
- その爆煙の向こうからリックディアスが煙を突き破るように飛び出し、放たれたビームが貫く。
- ウィンダムウェーブは抵抗するように漏電の光を走らせるが、次の瞬間には真っ赤な炎を上げて宇宙に漂う鉄屑へと姿を変えた。
- 僚機が爆発したのを見届けている間にもう1機にエデューのグロウズが切り掛かり、縦に真っ二つに切り裂いた。
- それを見て逃げようとする残った1機に、フウジンが後ろから追い越してその前に立ちはだかり、ビームサーベルを横に薙ぐ。
- 上半身と下半身がバラバラに宙に漂い、再び炎の花を宇宙に咲かせる。
- それは悲しくも戦火の狼煙となって、闇の中に輝いた。
- ザイオンはギュッと唇を噛む。
- ウィンダムウェーブを破壊したことで、もう後戻りはできない。
- これで完全にESPEMと地球軍は完全に敵対してしまった。
- だがESPEMの最大の目的は相手が誤った力の使い方をしていると思った時、それを止めるために力を使うことだと、配属された時に散々言われたのだから。
- そのために今こそ自らの意志で武器を手に取る時だと、ザイオンは強く思った。
- 力強く部下達に命令を発する。
-
- 「行くぞ、フリーダムを援護する」
-
- キラの方でもウィンダムウェーブがケルビムを攻撃し、その防衛であろうザイオン達が出撃したのは確認できた。
- 出来る事ならばこちらは一切手を出さずに相手を説得したいという思いが、キラにはあった。
- 下手に相手を撃ち落してしまっては、彼ら地球軍が難癖をつけてESPEM本部をも襲いかねないという危惧があったから。
- だが自分も、もちろん彼らもこのまま黙って討たれるわけにもいかない。
- 今の地球軍は力の使い方も意味も間違っていると、信じている。
- それを止めるのが自分達の仕事だと、そのことに覚悟と誇りを持っている。
- キラは一瞬悲しげに表情を歪めるが、すぐに意志の篭った瞳で迫るランサープリッツを見据える。
- そして覚悟と共にビームサーベルを勢いよく抜いて、ランサープリッツの振り下ろしたビームジャベリンを受け止めた。
-
*
-
- キラがランサープリッツの攻撃を受けた頃、セントルーズもケルビムの地球降下進路付近にいた。
-
- 「あちらが戦闘を開始しました。と言っても、地球軍側が一方的に攻撃しているだけのようですが」
-
- ナトーがあまり興味はなさそうに、戦闘の様子を報告する。
- まあ報告するまでも無く予想していたできごとなので、さして感想も無く連絡をただ事務的に行っただけだというのが本当のところだろ。
-
- セントルーズでもエルリックの発表放送は流された。
- どうやら地球軍は再びブルーコスモスの手の内に納まり、難癖を付けてESPEMを攻撃しているのだと推測されたが、彼らにとってはどちらでもいいことだった。
- いずれ『デスティニープラン』の導入により、地球連邦やプラントやESPEMといった国家や組織の存在が無意味になる世界を目指しているのだから、そこに至る過程は意識していない。
- そして今の部隊の目的は、バンの頭にあるのはフリーダムを倒すこと、ただそれだけだ。
- 低い声で返事を返す。
-
- 「そんなもの関係ない。邪魔するなら両方撃ち落すまでだ」
-
- そんなバン達パイロットはMSドックで自分のMSのコックピットに座って、出撃準備を行っていた。
- 先の戦闘でキラにかなりのMSがやられたのだが、デュラウバスの送った補給でそこには許容数いっぱいのMSが並んでいる。
-
- その中に一際フォルムの目立つ機体がある。
- 背中には特徴的な円形のリフレクターが備わっており、一定間隔で突き出した突起物が特殊性を引き立てている。
- バンの新しい機体、アポカリプスだ。
- デュラウバスが秘密工場で作らせた、プロビデンス、レジェンドの機構を引き継いだ最新鋭の機体だ。
- 今はシャイニングフリーダムとインフィニットジャスティスしか持たない、条約で禁止されている核エネルギーを使用している。
- そのためパワーや機動力はストライクイージスの倍以上発揮でき、かつ機体の稼働時間も半永久的に延びた。
- もちろん突起物はドラグーンシステムで、その高い攻撃力も健在だ。
-
- この新しい機体での初陣に、バンの気分は高揚していた。
- フリーダムに対抗しうる、いやそれを上回る最高の機体と評されるこのMSは、どこか自分にフィットするようなそんな一体感も感じていた。
-
- そこにヨウナが不満たらたらな様子で通信してくる。
-
- 「なあ、何で俺はマラサイのままなわけ?あれは何でグリムなんだよ」
-
- あれ、とはストライクイージスのことを指している。
- バンがアポカリプスに乗ることになったため、余ったストライクイージスはグリムが操縦することになったのだ。
- それに対して、すぐに異議を唱えたのはヨウナだ。
- だがバンは全く聞き入れず、冷たい目で睨みつけて黙らせると、ヨウナは幼い子供のように膨れっ面を作ることしか出来なかった。
-
- そんなこんなでマラサイのコックピットに乗り込んだのだが、ヨウナは未だに自分がストライクイージスに乗れないことが不満だった。
- グリムにもその通信は聞こえていたが、ヨウナの主張は実にくだらない、と無視をして発進準備を黙々と進める。
- 一方のバンは高揚に浸っていたところを邪魔されて、気分が一気に下降線を辿る。
- 喚くヨウナに対して声を低くし、にべも無く言い放つ。
-
- 「貴様は自分のMSの強奪に失敗し続けているだろうが。マラサイに乗って出撃のチャンスがあるだけでもありがたいと思え」
-
- 元々ヨウナはフリーズを強奪して、それが自分の機体となるはずだったのだ。
- しかしそれが達成されていない今、ヨウナに振り分ける余分な機体は無い、と言うわけだ。
- ヨウナは不満と憤怒を表情に浮かべるが、それ以上は何も言わずに通信を切る。
- バンは静かになったコックピットで溜息を一つ吐くと、発進カタパルトへとアポカリプスを移動させる。
- その一連の行動の間にバンはまたキラを抹殺することに意識を集中して、凶悪そうな笑みを浮かべた。
-
- ヒューはカタパルトを移動するアポカリプスの横姿を見つめながら、バンに若干の恐怖を覚えていた。
- 核エネルギーを使っていることもそうだが、バンがキラを倒すことに拘りすぎていることに、どこか薄ら寒いものを感じていた。
- そのマスクで覆った容姿には最初から違和感は感じていたが、ヒューの目から見ても優秀な指揮官で戦士であるバンが、そこまで妄執的になる理由が彼には分からなかった。
- そして今更ながら、自分の行動に自信が無くなる。
- デュランダル派の思想は本当に間違っていないのかと。
- 本当にここにいて戦うことは正しいことなのかと。
-
- そこまで考えたヒューはハッとして、雑念を振り払おうと頭を振る。
- これから戦場に出ようと言うのに、余計なことを考えていては反応や判断が鈍る。
- 判断が鈍ると言うことはそれだけ死に近づくと言うことだ。
- 何とか自分の行動を正当化させると、操縦桿を握り締める。
- しかし胸の中のもやもやは、最早晴れることは無かった。
-
- ヒューの悩みを余所に、バン達の出撃準備は全て整った。
-
- 「バン=ショウキ、アポカリプス、出るぞ」
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- バンの掛け声と共に、真新しい機体のバーニアに火が灯る。
- そしてカタパルトに乗って宇宙へ押し出されると、勢いよく光を噴射してスピードに乗る。
- それからフェイズシフトが働き、機体が薄暗いグレーに染まり、その目が怪しく光る。
-
- まず飛び出したそのアポカリプスに導かれるように、ヒュー達が続き、その後ろにはAPSザクVの集団が後に続く。
- それはその名の通り、世界の終わりを担う使者か悪魔を連れているように見えた。
-
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