- 2人は互いに目の前の相手から視線を逸らすことが出来なかった。
- その場に似つかわしくないハロの陽気な電子音が時折フリーズのコックピットから響くが、2人の耳には届いていない。
- 否、2人の間に漂う空気がそれを遮断した、と言う方が正しいのかも知れない。
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- 「まさか、貴方が、父の命を奪った人達の仲間だったなんて・・・」
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- そのまま永い永い時間が経ったような、しかし実際はほんのひと呼吸かふた呼吸の沈黙の後、ミライは何とかポツリと零す。
- 砂漠の夜の一瞬の邂逅だけだが、ヒューという人物は優しく、温かな印象を持った青年だった。
- そんなヒューがMSのパイロット、それもESPEM本部で新型を奪取し、今まで何度も銃を交え、父を殺した相手の仲間などとは、こうして目の当たりにしても信じられない。
- 砂漠に吹く熱風がミライの気持ちを逆撫でするように、髪を掻き乱して吹き抜ける。
- しかしミライはくしゃくしゃになった髪を押さえることもせず、ただヒューを見つめている。
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- 一方、ミライの言葉にヒューも何とか時間が動き出すと、とてつもない罪悪感に襲われた。
- ミライの父親の命を奪ったのが自分かも知れないと思うと、居た堪れない気持ちばかりが心の中に、シミが大きく広がるように染まっていく。
- 苦悶に顰める表情を浮かべる。
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- しかし信じられない思いはヒューも同じだった。
- これまでもケルビムのMS部隊には散々苦渋を舐めされられ、たくさんの仲間を奪われてきた。
- その仇でもあり、自分が越えなければならない障害であるケルビム部隊の中に、ミライが含まれているなどとは考えもしなかった。
- 何より彼女が戦闘をする度に成長し、今や最大の強敵となったフリーズのパイロットだったとは未だに信じられない。
- 今もコックピットから出てきたのが夢ではないかと思えるほど、パイロットスーツが似合わない、可憐な少女の顔をしている。
- そのミライに責められることは苦しくもあった。
- 銃を持った手をゆっくりと下ろす。
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- だが同時に、ふつふつと込み上げる怒りもあった。
- ヒューから見て、ミライの言い方は自分が加害者の側にも立っていることに気付いていないものだ。
- 自分のことを棚に上げるつもりはないが、それでもミライの言葉はとても自分勝手なものに聞こえた。
- 彼女が直接手を下していないにせよ、これまでの戦いで彼女と彼女の味方に傷付けられたものは多い。
- そしてそんなことをできるようには見えないミライに、独りよがりな思いだとは分かっていながら、裏切られたような気持ちにもなった。
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- 「それは俺も同じだ!」
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- ヒューは冷たく言い放つ。
- そして思わず感情的になり、堰を切ったようにミライを非難する言葉を浴びせる。
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- 「俺の仲間も君達の攻撃で何人も死んだ。確かに俺達がMSを奪ったことが、戦いが広がったキッカケなのかも知れない。それでも君達がそんな力を持って振りかざさなければ、俺達も力を振るうことは無かったし、こんな作戦を実行することも無かった。自分達だけが正義などと思うな。俺達も俺達の正義に従って行動している」
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- それはヒューにとっての正論であり、真理だ。
- 自分が正義などと語るつもりは無い。
- それでも自分なりに戦う理由があり、相手方が一方的に正義を語ることは許せない。
- どんなに理想論を掲げようとも、それで全ての人が幸せになることはできない。
- ならば相手が攻撃してくるのならば、それから身を守るために力を持たなければ、自分の命すら守れないのだ。
- 自分がそれを身を持って知ったのだから。
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- そして言ってしまってから、鈍い胸の痛みを感じる。
- きっとミライは、これまで両親にたっぷりと愛されて、純粋に育ったのだろう。
- 戦争などとは遠いところで。
- ミライの正体をまだ知らないヒューの脳裏には、両親と彼女とが穏やかに、幸せそうに笑っている団欒の様子が思い浮かばれる。
- どこの場所かは分からないが、これまで幼い頃からバンやグロッグと共に、幾つもの戦場を潜り抜けてたヒューは、確かに彼女の父親を殺したかも知れない。
- そのために、その温かな家庭はあっと言う間に崩壊した。
- それを否定はできない。
- そして彼女の父親に限らず、これまでも数多くの人達を殺してきた。
- 今更ながら、それがどれだけ罪深いことなのかを思い知らされる。
- どんなに理想論や思想を掲げてみても、ラクス=ヤマトやギルビット=デュラウバスと同じく、結局は自分も詭弁を並べているだけなのだと。
- 彼自身も、今のミライの姿を見ることで己の過去を省みていた。
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- そしてどんな経緯でフリーズに乗ることになったのかは分からないが、幼い頃に家族を亡くしたヒューにはその辛さがよく分かった。
- その時生まれた怒りに任せて、彼女はMSのパイロットになったのだと想像した。
- ゲリラの部隊に身を投じた、かつての自分と同じように。
- そんなミライを不憫に思い、呆けたような表情で自分を見つめる彼女に、自分の言葉で傷付けたことを悔いて顔を背ける。
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- 一方のミライは、声を荒げるヒューの顔を見た。
- 苦痛と苦悩に、眉間に皺を寄せるその表情を。
- そして悲痛な思いが込められたヒューの言葉に、大きな衝撃を受けた。
- 相手も同じ人間である以上、自分と同じ思いをして当然なのだ。
- 自分の攻撃で相手が傷つけば、当然その相手は自分を恨むだろう。
- 今の自分と同じように。
- 何故今までそのことに気付かなかったのか。
- 自分が相手に抱いた憎しみという感情は、何と自分勝手な思い込みであったのだろうと、自分の感情と行動を激しく悔やむ。
- そして同時に、自分が戦う理由がまた見えなくなった。
- 2度とこんな悲しい思いはしたくないからと、誰にもさせたくないからとMSを駆っていたのに、自分が戦うことで逆にそんな人を作り出していることを知り、自分が間違っていることを思い知らされる。
- 一度はしっかりと決意したはずなのに、今はまたこれからどうすれば良いのか分からなくなり、決意は大きく揺らぐ。
- 他の人に悲しいを思いをさせないためには、守るために戦う必要があるのと同時に、誰かを傷付けないためには戦わない必要もあるのだと言う矛盾の板挟みの中で、ミライの心は再び出口の見えない闇の中を彷徨い始めていた。
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PHASE-25 「望まぬ再会」
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- フレアに組み敷かれた格好のフリーズを見て、エデューはライジンに牽制のバルカン砲を放つと、ビーム砲をそちらに向けた。
- ミライとヒューの再会のことなど知りもしない彼にとって、それは味方以上に自分が気になる異性の危機でもあり、心中穏やかではいられない。
- だがフレアに直接当てては、その下にあるフリーズも傷付けてしまう。
- 一瞬思案したエデューは、ミライのパイロットとしての実力を信じ、2機のバランスを崩すためにそのすぐ脇にビーム砲を放つ。
- グロウズのビーム砲は思惑通り、フレアを掠めて地面に大きな穴を開ける。
- その穴は少しずつ広がり、エデューの思惑通り、2機を飲み込み始める。
- そして斜面が2体のMSを少しずつ滑らせていく。
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- ミライとの話に集中していたヒューは、ビーム砲の光がすぐ傍に落ちたことで、ここが戦場の真っ只中だということをようやく思い出す。
- ビーム砲が巻き上げた砂が2人の上から降り注ぎ、それが現状への覚醒を呼び起こす。
- 次の瞬間、機体が斜めになった砂に囚われるように大きく傾いだ。
- ヒューはグラリと体をふらつかせるが、傾く機体の上で何とかバランスを保つと、機体が砂の中に沈んでいっていることに気が付く。
- このままでは自分も砂の中に埋まってしまう。
- 舌打ちしてコックピットに飛び込み、直ぐにフレアを発進させる。
- ヒューはミライと向き合った緊張感から解放されて、思わず溜息を吐く。
- これ以上話していたくなかったのは事実だ。
- 胸が頭が苦しくて、どうにかなってしまいそうだったから。
- だがこのまま二度と会えなくなるかも知れないことにも、強く後ろ髪を引かれるような思いがあった。
- もしまた会ったとしても何か話ができるわけでもないのに、どうにもならないことは分かっているのに、心の片隅はそれを強く願っている。
- もう会うことも無いと思った相手とまた巡り会えた、それが最悪の形だったことに、その2つの相反する気持ちが入り混じり、くそっ、と頭に当てた手で髪をくしゃりと握り締める。
- その拍子に髪についていた砂が零れ落ちシートや計器類が砂塗れになるが、そんなことを気にする余裕は無い。
- 彼自身パラパラと零れ落ちる砂のように、今の自分の気持ちを整理できないでいた。
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- ミライも足元のボディーに手を付いて、揺れる機体から振り落とされるのを防ぐと、ほとんど反射的にフリーズのコックピットに再び飛び乗る。
- そしてフレアを追い掛けるように、上空に飛び上がった。
- しかしその瞳には外の光景も、フレアの姿も映っていない。
- ほとんど無意識の、防衛本能とでも言うべき行動だ。
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- ミライの頭の中では、先ほどのヒューの言葉がずっと響いている。
- 目の前にはこれまで自分が攻撃してきた相手のこと、シャイニングフリーダムが爆発する光景、迫るフレアとヒューの苦悶の表情が、浮かんでは消える。
- 自分が今何所に居るのかすらもよく分かっていない。
- 砂塗れで体中がザラザラとした不快な感触に包まれているが、それを気にする余裕も無い。
- 彼女もまた、話が途切れたことに安堵し、同じくらい物足りなさも覚える。
- 何か話すことがあるわけでもないのに、これ以上話をするのは胸が苦しいはずなのに、それを渇望する自分があるのだ。
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- 「何をしている。目の前の敵を早く撃て。そいつらはキラさんの仇だろう!」
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- 通信機越しにエデューの怒鳴り声が響く。
- その声にミライはハッとして、反射的にライフルを構えてターゲットをロックする。
- そこでようやく目の前に見える光景を認識し、その中央にはフレアが居た。
- まるで後ろに注意を払っていない無防備さで後姿を晒している。
- ほんの少し指に力を込めるだけで、間違いなくライフルから放たれたビームはフレアを貫き、落とすことができたであろう。
- サーチスコープがフレアを捉えて、ロックOKの電子音が鳴る。
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- しかしミライには引金を引くことができなかった。
- 目の前のMSに自分の知った人が乗っていると分かった今、ターゲットの中にその人の顔や姿が幻の様に浮かび上がる。
- その姿と父が炎の中に消える姿が重なり、操縦桿から手を離してしまう。
- 今フレアを攻撃するということは、ヒューを攻撃するということ。
- 今までMSという機械を通しての対峙しかしてこなかったので忘れていたが、自分がこうして操縦しているということは、相手も同じく人が乗っているということ。
- それを撃ち落すということは、人を殺すことと相違ないことだということをハッキリと認識する。
- 初めて生身の体で銃を向け合っているような、リアルな相手の息遣いが聞こえる気がする。
- いかに父の仇だと言えども、自分が人殺しになるのだということがミライに引金を引くことを躊躇わせる。
- そして自分が攻撃することで、自分と同じように他の誰かを悲しませることになるかも知れないということに、その人に恨まれるかもしれないという事実に強く怯えた。
- その恐怖から逃れるように頭を抱え、目をギュッと瞑り、シートに蹲る。
- ハロが主人の一大事だと理解しているのか、途端にその周囲を飛び跳ねて騒ぎ出すが、今のミライには何の効果も無い。
- むしろ逆効果だった。
- ミライは外の世界から流れる意識の全てから逃れようと、体を窮屈なシートの上で精一杯縮めた。
- その瞬間にフリーズ腕はだらりと垂れ下がり、銃口は完全にフレアとは違う方向を向いている。
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- エデューは驚愕に目を見開いた。
- ミライに何かあったのか、或いはマシントラブルかと心配する。
-
- 「何かあったのか、応答しろ!」
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- 必死に通信機越しに呼びかけるが、一切応答は返ってこない。
- エデューは乱暴に操縦桿を引くと、どこまで面倒を掛けるんだと愚痴を零して、援護に向かおうとケルビムに着地してフリーズの方に跳躍する。
- だが眼前にライジンが割り込み、行く手を阻まれる。
- エデューはちっと舌打ちして、再び返ってこない通信機に向かって叫びながら、ライジンに向かってビーム砲を放った。
-
- その頃、ヒューもいくらか機体を上昇させたところで機体をくるりと振り返させると、ビーム砲を脇に抱えてフリーズに狙いを定める。
- 無防備に腕を下げ、ただ追いかけてくるだけの今なら、撃ち落すことは造作も無いことだ。
- スコープの中央にフリーズを捉えて、狙いを外さないように目を細めてしっかりと見据えた。
- だが手は、指はブルブルと震え、引金を引くことができない。
- フリーズに乗っていたのがミライだったことが、未だに尾を引いている。
- そしてふとこの前の夜、月明かりに照らされていた時のことが頭を過ぎる。
- あの幻想的な光景だったあの夜のことを。
- そこでヒューはハッとして大きく頭を横に振ると、目の前のモニタに意識を集中させる。
- 相手は憎くむべき敵のはずだ。
- そう何度も自分に言い聞かせる。
- しかし、あの壊れそうなほど儚く美しかった笑顔が思い出されると、どうしても憎みきれない。
- むしろ甘酸っぱいような、切なく苦しい思いばかりが溢れてくる。
- 今初めて、自分が引金を引くことを怖いと思っていることに、戸惑いと混乱が膨れ上がる。
- 人を殺すことは今更なのに、今までだって正しいことだとは思ってはいなかったが、それでもこれほど迷い、躊躇ったことは無かった。
- 仲間や自分のためには仕方が無いと思ってきたから。
- だが本当は、それで済むはずが無いのに、事実から目を逸らし続けていただけだと気付く。
- ヒューはくっと声を漏らすと、視線をそらして引金から指を離し、バーニアを吹かして上空高く舞い上がった。
- そして目の前のコンソールを、両手で思い切り叩きつける。
- 彼もまた自分が取るべき行動を見出せず、思考の迷路の中に迷い込んでいた。
-
- タクミは、ビーム砲を構えていながら、結局撃たずに急上昇したヒューの行動が理解できなかった。
- 今のはフリーズを討つ絶好のチャンスだったのだ。
- 邪魔が入らないようにもしてやったのだ。
- それなのにフレアはまるで逃げるように、フリーズからどんどん離れていく。
- その動きもまるで撃ってくださいと言わんばかりに、防御も回避も、そういった素振りを見せずに、ただ一直線に空高く上るだけだ。
- 尤もフリーズの方も攻撃する素振りも見せず、ただフラフラと追いかけているだけだが。
-
- タクミはヒューのパイロットとしての技量も、兵士としての能力も高く評価していただけに、ありえない行動に苛立ちを隠せない。
- 砂漠の夜の邂逅も今の再会も知らないタクミには、ヒューが突然狂ったようにしか映らなかった。
- 仮に知っていたとしても、それは兵士としてあるまじき行為だと叱責するだろうが。
- ともかく、こうなっては自分がフリーズを破壊するしかなさそうだ。
- しかしグロウズのレベルは高く、この相手で自分は手一杯だ。
- ヨウナのマラサイは砂に足を取られて使い物にならないから、2体2である今、ヒューにフリーズの相手をしてもらうしかないのだ。
- 堪らずヒューに通信を飛ばす。
-
- 「ヒュー何を考えている。さっさとフリーズを破壊しろ」
-
- 言われてハッとしたヒューはもう一度振り返り、モニターのスコープをフリーズに合わせる。
- タクミの言うことは尤もだ。
- 自分達の任務は、まさにそれのはずだ。
- 兵士である以上、それは達成されるべき事項なのだ。
-
- 前線に立つ兵士に主義や主張は必要ない。
- ただ上の指示に従って相手を撃つのみだ。
- その組織に属していること、それ自体が己の主張だ。
- そして何より、自分自身が、生き残るためにな。
- 余計な感情や思考に流されては、死ぬぞ。
-
- 一番最初に兵士としての技量と心構えを叩き込んだ男は、常々そういっていた。
- そうもしこれが他の戦場であれば、この迷い、躊躇いの間に、自分が撃たれるかも知れないのだ。
- それは死を意味する。
- 結局その男も、逃げ遅れたヒューを助けようと飛び出し、自分の目の前で爆発に吹き飛ばされた。
- 肉片がどこにいったかも、分からないほど、木っ端微塵に。
- 自分はその男の命と引き換えに、身を持った教えに、今生きているのだ。
- だから、そのことは重々分かっているつもりだ。
-
- だがヒューには引金を引く決断をできなかった。
- 例え敵だとしても、ミライを自分の手で撃つことを。
- どうしてもあの笑顔が頭から離れないのだ。
-
- もし他の誰か、例えばタクミがフリーズを狙ったどうだろうか。
- 今の自分であればタクミを攻撃して、フリーズを守るような行動も取りかねないと、自分でも驚きながら否定出来なかった。
- それほどミライに対して、何かに拘っているものがあるのだ。
- しかしその何かが分からない。
-
- ミライもどうしてこれほどヒューという男のことが気になるのか分からないでいた。
- 幻想的な月夜で出会った相手だったからか、それとも予想だにしない形で再会したからか。
- どちらも今までの自分ではありえなかった、印象的なものではあるが。
- 唯少なくとも、父を殺した相手という憎しみを、単純には感じていないのは事実だ。
- あんなにも大好きだった父を奪ったかも知れない相手なのに、ヒューという人物の顔を思い返すと、どこか心惹かれてしまう部分もあるのだ。
- それがまたミライの胸を苦しめる。
- 父に対して、自分が薄情な人間な気がして。
-
- どちらも近づきたいのに近づけないような、そんな心の微妙な距離が、機体の動きとなって現れる。
- フリーズとフレアは、お互い見つめ合うように一定の距離を保ったまま、弧を描くように空中を旋回する。
- まるで2機が踊っているかのようなその動きに、エデューもタクミも驚き、そして困惑する。
- お互いの相手をすることも忘れて、しばし呆然とその動きを見つめた。
- 自分達の、MSという道具に持つ印象とは、あまりにもかけ離れたそれだったため。
-
- もしそれが踊りだとしたら、2人は悲しげな表情を浮かべた、重い足取りのステップに違いなかった。
- しかしそれは本人達も分からないまま、砂を巻き上げる熱風の中に、思いは千切れ飛んでいく。
-
- 「何をやっているヒュー、ここは戦場だぞ」
- 「ミライ、お前こんなところで死ぬつもりか」
-
- それぞれの味方の叱責する声が響く。
- どちらも言われている意味は分かる。
- だが体が、思考についていかないのだ。
- 単純に気持ちを割り切れない思いが、ぐるぐると胸の中に渦巻いている。
- ついにヒューも気持ちの重さに耐え切れなくなり、両手で頭を抱えて膝をたたんで蹲る。
- そこには戦士の姿など欠片も無かった。
- 自分の思いに悩む、思春期の少年の姿でしか。
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- まるで2人の想いを表すように、2機のMSはガックリと頭と肩を落とした格好で捩れた螺旋を描きながら、ひたすらに空高くを舞っていた。
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