- エデューに言われて大人しく医務室で横になっていたミライだが、ケルビムが大きく揺れたことに上体を起こす。
- 出撃出来ないとは言え、やはり外での戦闘は気になった。
- 一体相手の数はどのくらいだろうか、エデュー達は優勢だろうか等、そればかりが頭の中を過ぎる。
- 既にいくつもの戦いを潜り抜けてきた彼らだからきっと大丈夫だろうとは思いながら、何故か嫌な予感のようなものがずっと胸に引っ掛かっている。
- こんな感覚は初めてで、とても落ち着いていられない。
- 戦いのことを忘れたいと思うのに、どうしても思考はそのことばかりに向けられる。
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- そうしてミライがあれこれと戦いの様子を想像していると、再び医務室を大きな揺れが襲う。
- それだけ激しい戦闘が繰り広げられているのだと思うと、ミライはじっとしてはいられなかった。
- 衝動に駆られて、医務室を飛び出してブリッジへと走る。
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- ブリッジではレイチェルが必死に指示を飛ばして、MSの攻撃をかわそうとしていた。
- その指示を受けてアールが必死に操舵を傾けている。
- モニタの向こうでは、フレアに向かって体当たりをするグロウズの姿が映し出され、ミライは思わず声を上げた。
- ブリッジのクルー達は、声がしたことに驚いてそちらを一斉に振り返る。
- だがミライはその視線に気付かない。
- ただ戦っているフレアとグロウズの様子を凝視している。
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- エデューとヒュー、自分のよく知る人同士が戦っている姿を見るのはとても胸が痛む。
- 戦争にはこんなにも悲しいことがありえるのだということを、改めて見せ付けられている感じだ。
- 辛そうな表情で戦いを見つめるミライに、レイチェルも険しい表情を浮かべると正面を向いた。
- ミライのことは気の毒に思うが、今はここを生き残ることが先決だ。
- それに彼女にどんな言葉を掛けてやれば良いのか思いつかない。
- 酷なようだがレイチェルから見て、ミライはまだ戦争を美化しているように見えた。
- ならばこのままありのままを見て感じてもらった方が良いと考え、敢えて何も言わずに艦の指示に集中した。
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- やがて相手のMSはこちらのMSとの戦いに集中しだしたのか、ケルビムに対する攻撃が止んだ。
- それを見て取ったレイチェルは、素早く指示を飛ばす。
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- 「MSを牽制しつつ本艦はこのままオーブ領海に突入します。そこまでは相手も追って来れないわ。オーブ行政府へ緊急電文送信。パイロットにも知らせて」
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- レイチェルの指示に、ブリッジクルーはまた慌しく作業に入る。
- それでもミライはただじっと、モニタを見つめている。
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- 外は嵐で、激しい雨の中交錯するいくつもの影。
- そのMSのシルエットの向こうでは稲光が轟いているのが見える。
- それが何かこの戦いの結末を不吉に暗示しているようで、ミライは胸の辺りを両手で押さえる。
- 恐怖とも違う何かが、胸の鼓動を激しく苦しくさせる。
- 言い知れぬ不安がミライの胸を押し潰そうとしていた。
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PHASE-31 「雷鳴に散る」
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- 雨が激しくなる中、甲板上でじっと睨み合っていたヨウナとリュウだったが、先に動いたのはヨウナだった。
- こういった状況の場合先に動くことは隙を見せることに他ならないのだが、最早冷静に状況を読むことも考えることも出来なくなっていたヨウナはじっとしていることが耐えられず、とにかく相手を攻撃したい衝動を抑えきれなかったのだ。
- 奇声で吠えながら、ただ闇雲にまっすぐグロウズに切り掛かった。
- それを冷静に見ていたリュウは、振り下ろされたその一撃を半身になって避けると、擦れ違い様にビームサーベルを横に薙いだ。
- 雷が轟き、ピカッと光った空に、影絵のように映し出された2機のMS。
- 何事も無かったかのように擦れ違ったままの形で動かなくなった。
- しかし次の瞬間、マラサイが崩れ落ちた。
- リュウが薙いだビームサーベルは、コックピットを見事に切り裂いていた。
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- 真っ二つに切り裂かれたコックピットの中で、ヨウナは血を吐きながら、敗れた現実を受け入れられなかった。
- ただあるのは戦いへの渇望、勝利への欲求だけ。
- 自分が何者で、どうしてここに居るのかも思い出せない。
- だがとにかく、自分は戦わなければならないと言う、植えつけられた本能だけが頭の中に渦巻いた。
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- しかし体へのダメージは確実にヨウナを襲い、次第に戦うことへの執着も薄れ、一面真っ白な世界だけが彼の目の前に広がる。
- 昔のことも思い出せず、もう名前さえもはっきりと思い出せなくなった。
- 何もかもがどうでもよくなり、全ての思考を放り出して、その白く広い世界の中で大の字になって寝転がった。
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- 不意に、白い空間から一つの手が差し出された。
- 柔らかそうな細く白いそれは、優しい母の手を感じさせた。
- それを見たヨウナは、そう言えば自分の母親とはどんな人だったのか思い出そうとした。
- だがエクステンデントとして調整された彼の記憶には、母親の姿はどこにも無い筈だ。
- それでも母親を連想したのは本能か、それとも潜在意識に残っていたのか、それは分からない。
- ただ先ほどまでの、恐ろしげな表情はもう浮かんでいなかった。
- ヨウナはそっちの世界は優しくて温かいんだね、と呟くと、産まれたばかりの子供のような笑顔を浮かべてその手を掴んだ。
- その瞬間、崩れ落ちたマラサイが爆発する。
- 爆発の炎に巻き込まれて、ヨウナの体は意識ごと溶けていった。
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- 背後で起こった爆発を振り返りながら、リュウはぐっと歯噛みした。
- また生き残れたことは安堵するが、そこに勝利した喜びは全く無かった。
-
- 「焦って仕掛けてくるから・・・」
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- その表情は愁いに満ちていた。
-
*
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- 同じ頃、ケルビムの遥か上空ではリックディアスとグフVが激しく刃を交えていた。
- 幾度も斬撃をぶつけ合いながら、その内の一つがグフVの右足を捉えた。
- 海へと落ちていく、切り離された右足。
- だがララファも負けていない。
- ヒートロッドで牽制すると、相手の回避行動を予測した位置に先回りする。
- そしてビームソードを振るい、同じようにリックディアスの右足を切り落とした。
- ザイオンは舌打ちするが、それで攻撃の手を緩めることは無い。
- 互いに歯を食い縛った厳しい表情で、再びサーベルとソードをぶつけ合い、激しく鍔迫り合う。
-
- 「私はグロッグの仇を討つまで、負けられないのよ!」
-
- ララファは悲鳴にも似た叫びを上げて、リックディアスを弾き飛ばす。
- 僅かにバランスを崩すリックディアス。
- その隙を縫って、ララファはヒートロッドを振り回す。
- ザイオンも体勢を崩されながら、グフVに反撃しようとライフルの銃口を向けた。
- だがヒートロッドが一瞬早くリックディアスのライフルに巻きつく。
- 続いて電流が迸り、このままではただ武器を失うだけだ。
- その時咄嗟に閃いたザイオンは、ライフルを思い切りグフV目掛けて投げつけた。
- ライフルはグフVの眼前で爆発する。
- その衝撃にララファは僅かに竦んだ。
- ザイオンはその隙を逃さず、バーニアを最大に吹かして加速する。
- リックディアスの接近に気がついたララファは、慌ててソードを突き出すが、その切っ先は正確に捉えることは出来なかった。
- リックディアスの左肩にビームソードは突き刺さったが、リックディアスが伸ばしたビームサーベルの先は、グフVのコックピットを的確に貫いていた。
-
- ビームの高熱に焼かれながら、ララファはそれでもグロッグの仇を討とうと、必死に操縦桿を握り締めていた。
- だが体は思うように動かない。
- 力が入った感覚もせず、腕がそこにあるのかさえも分からない状態だった。
- その状況に舌打ちすると、だんだんと意識が薄れ、まだ動く残りの思考はグロッグのことばかりが締めた。
- 出会ってからこれまで一緒に過ごしてきた、楽しかったと言える時間が走馬灯の様に頭を駆け巡る。
- こんなにも彼のことを想っている自分に少し驚きながら、その思考さえも暗闇の中に溶けていく。
- そしてララファは意識が途切れる直前、グロッグが笑顔で首を横に振っているのを見た気がした。
-
- そう、貴方は仇討ちは望んでいなかったのね。
- でもこれでずっと一緒よ。
- 今そっちに行くわ。
-
- 最後は優しい笑顔を浮かべて、ララファの意識は両手を広げて待っているグロッグに飛びついた。
-
- ザイオンはビームサーベルを引き抜くと、腹部から背中にかけて一つの穴を開けて、力なく海に向かって落ちていくグフV。
- 次の瞬間グフVは大爆発を起こして、破片は雨に混じって海に降り注いだ。
- ザイオンは肩で息をしながら、グフVが爆発した空間をしばらく見つめていた。
-
*
-
- タクミとジローは体に掛かるGの負荷を振り払いながら、何度も互いの刃を交えては離れ、人の目ではついていけない動きでぶつかり合う。
- 最初は五分に渡り合っていた2機だが、次第に状況が変わってくる。
- 徐々にフウジン有利に戦いは展開していた。
- リミッターを外した不規則なフウジンの動きには、兄弟機のライジンでもついていけなかった。
- 動きの特性が異なるため、フウジンのような自在な動きはライジンには出来ない。
- 直線的なライジンに対して、フウジンはそれを包み込むように弧を描きながらライジンに迫る。
- タクミは残像の機影に惑わされて、まるで異なる複数の方向からライフルを撃たれているような感覚に、機動力の高いライジンでも回避しきれず、左足を撃ち抜かれる。
- それでもジローには、まだタクミに対して全力を出し切れない躊躇いがあった。
- まだ心の奥底ではタクミが裏切ったのは間違いで、こちらに戻ってくるような。
- その思いが、ライジンに対する攻撃の精度を甘くしていた。
- 旋回しながら2射目、3射目を放つが、それらはライジンにかわされてしまう。
- ジローは舌打ちして、狙い易い距離まで機体を寄せた。
-
- タクミはフウジンの攻撃を避けながら、未だ脳裏にちらつくジローの笑顔に舌打ちして自分を叱責する。
-
- この戦いで今度こそ自分の甘さを払拭すると誓った筈だ。
- なら躊躇うな。
- 目の前にいるのは知り合いではない。
- 自分の理想を邪魔する敵だ。
- 憎悪にも似た決意を固めたタクミはイメージの中で、ジローの笑顔が浮かぶ絵を切り裂いた。
-
- 次の瞬間、タクミは険しい表情を浮かべると、フットペダルをぐっと踏み、体に掛かる強烈なGをものともせず最大限のスピードでフウジンに向かって突撃した。
- その踏み込みには微塵の躊躇いも無く、フウジンを上回るスピードで懐に潜り込むことが出来た。
- 続けてほとんど無心でサムライソードを振りかざす。
- ジローの中にあった迷いが、ほんの一瞬、ライジンの動きに対して初動を遅らせる。
- その一瞬が致命的なものになった。
- 気が付いた時には、もう懐に入られていた。
- そこからジローも加速で生じたGに呻き声を上げながら、機体を左右に振ってライジンの攻撃をかわそうとする。
- しかしライジンはその突進力で、逃れようとするフウジンとの距離を取らせずに、攻撃を回避されるよりも先に斬撃を放った。
- 稲光を反射しながら、フウジンの頭上に迫る刀。
- かわし切れないと判断したジローは、ビームサーベルをライジンに向かって突き出した。
- その切っ先は、振り下ろされていた左腕を貫いた。
- それでもライジンの攻撃は止まらない。
- タクミは残った右腕に力を込めると、サムライソードを振り下ろすために、力一杯、全ての体重を乗せて操縦桿を押し込んだ。
- 結果、振り下ろされた刀は、フウジンを頭から切り裂いた。
- コックピットのジローごと。
-
- ぐしゃりと体を押し潰される感覚と、切り裂かれたような痛みを覚えながら、ジローは一瞬何が起こったのか分からなかった。
- だがすぐに辛うじて開く右目だけで、切り裂かれた機体の隙間からライジンの姿を見つめると、自分がライジンによって切られたのだということを理解する。
-
- そうか、俺は切られたんか。
-
- ジローは痛みを覚えながらも、淡々とその事実を受け入れる。
- タクミに対して非情になりきれなかったことは自分でも分かっている。
- だがかつての仲間に対して、その思いを捨て去ることは出来なかった。
- するとタクミはどうだったろうかと考える。
- 彼も心のどこかでは、そういう気持ちがあったのではと思わずにはいられない。
- そう考えると切られたことよりも、切ったタクミのことが気になり、必死にライジンのコックピットを見つめる。
- そのコックピットでは操縦桿を握ったまま俯いているタクミの姿が、透けて見えるようだった。
- 俯いている姿は、切ったことを後悔して悲しみにくれているようにも見えた。
- それを見た気がしたジローは、タクミに殺られるのもまた運命かも知れへんな、と不思議と負けたことを納得している自分に苦笑を浮かべると、意識は闇の中へと吸い込まれていった。
- 直後、フウジンは空中で粉々に爆発した。
-
- フウジンが跡形も無く空から消えると、タクミはゆっくりと顔を上げた。
- この手でジローを殺した。
- その事実がどうしようもなく右手を震えさせるが、それを左手で押さえつけて震えを止める。
- 自分が望んでいたことを果たしたのだ。
- 何の後悔があろうか。
- 自分はついに己の甘さを払拭できたのだ。
- それは喜ぶべきことだ。
-
- そう自分に言い聞かせるとタクミは狂ったように笑い始めた。
- 心の中に残る、ざらついたような不快な感覚を振り払うように。
- しかしその声は、心から喜んでいるとは思えない、掠れたで、笑い声を出せば出すほど、不快さは増すばかりで虚しさだけが込み上げていた。
- コックピットにタクミの悲しい笑い声が響く中、ライジンの目元から流れる雨が、まるで兄弟機の死を悲しんで涙を流しているように見せていた。
-
*
-
- エデューとヒューは、未だ激しい戦闘を続けていた。
- 空を飛べないグロウズを駆るエデューは、ケルビムの甲板上から飛び上がっては仕掛け、また戻るという攻撃を繰り返していた。
- 仕方が無いこととは言え、その行動は相手にとって予想し易いものだった。
- 当然のことながら、ヒューはこの行動パターンを狙ってグロウズに狙いを定めた。
- 宙に機体が浮かんだところでトリガーを引いた。
- 空中に飛び上がったエデューは必死にフットペダルを踏んでバーニアを吹かし、フレアの攻撃を避ける。
- だがやはり機体性能の差は大きい。
- 攻撃を避けきれずガトリング砲に左腕を撃ち抜かれて、左腕は完全に使い物にならなくなった。
- また攻撃を受けた反動で、リュウとは反対側の甲板上に落ちるエデュー。
- 落ちた時の衝撃で、穴だらけになり強度が弱まっていた左腕も胴体から千切れ飛ぶ。
- グロウズのダメージは決して小さくない。
- ヒューは冷たい眼差しで止めを刺すべく、横たわっているグロウズにゆっくりとビーム砲で狙いを定めた。
- ロックされたことに気が付いたエデューは、悔しさを滲ませてフレアを睨む。
-
- こんなところで殺られてたまるか。
- 俺は、俺はまだやらなきゃならないことがある。
- 生きて、戻らなきゃならない。
- もっと強くならなきゃならないんだ。
- あのミライを越える程に!
-
- エデューがそう強く思うと、体の奥底で何かが弾ける音が聞こえたような気がした。
- すると目の前のものがとてもクリアに視界が広がり、スローモーションを見ているかのように、フレアが引金を引く様子がひどくゆっくりに感じられた。
- これならまだ勝ち目はあると感じたエデューは、フレアが向ける銃口目掛けて、右脇に構えたランチャーを素早く放つ。
- その攻撃はフレアから放たれたビームと正面からぶつかり合って、空中で爆発を起こす。
- そして大きな爆煙が2機の間を遮った。
- エデューは考えるより先に、機体を起き上がらせるとその煙に向かって再び飛び上がった。
-
- 一方、その爆煙でグロウズの姿を見失ってしまったヒューは、舌打ちして様子を伺う。
- しかしその煙の向こうから突然グロウズが現れる。
- そして間髪入れずにビームサーベルで右腕を肩から切り落とされる。
- 突然の攻撃にヒューは身動き一つ出来なかった。
- だが驚いて攻撃を受けるばかりではない。
- すぐに反撃を考え、残った左腕にヴェスバーを構えて銃口をグロウズに押し当てると、引金を引く。
- しかしエデューはその攻撃もしっかりと目で捉えており、発射されたビームを紙一重でかわし、僅かにグロウズの右脇腹辺りを掠めただけにダメージを止める。
- ゼロ距離での射撃をかわされてさらに驚くヒュー。
- 急に動きが良くなったグロウズに戸惑いを隠せない。
- その驚きで操縦が一瞬止まった瞬間に、エデューはフレアの頭部とガトリング砲をランチャーの砲身を振り回してへし折る。
- 鈍い衝撃と同時に、目の前のモニタがブラックアウトし、呻き声を漏らして揺れを堪えるヒュー。
- 自分がグロウズの動きについていけていないことに焦りを覚えるが、まだ勝敗が決した訳ではないので、しっかりと相手を見据えようとする。
- だがエデューの次の行動は早い。
- エデューは砲身がひしゃげてしまったランチャーを投げ捨てると、ビームサーベルで横一閃斬撃を見舞う。
- サブモニタに切り替わったモニタに、ビームサーベルを振るうグロウズを捉えると、ヒューは慌てて回避行動を取った。
- コックピットへの直撃は避けたが、左足を切り取られる。
- エデューはさらに返す刀右足にもサーベルを突き立てる。
- 次々とダメージを受けていく機体に、このままではただやられるだけだと危機感を募らせたヒューは、とにかく闇雲に反撃を試みた。
- その無茶苦茶さが功を奏し、腹部の複相ビーム砲がグロウズの頭部を吹き飛ばす。
- だがエデューは怯まない。
- 叫び声を上げると、間髪入れずにビームサーベルを突き出す。
- それを見たヒューもヴェスバーを投げ捨てると、ビームサーベルを引き抜いて、思い切り振り下ろす。
- 互いにサーベルを持った腕を切り落とし合う。
- どちらの機体も、もう両腕が無い。
- しかしそれでどちらも攻撃を諦めたわけではない。
-
- ヒューにも死にたくない、死ぬわけにはいかないという思いがある。
- グロッグが庇って生き延びた命。
- こんなところで潰えてはそれこそ申し訳ない。
- 気持ちを奮い立たせると、まだ使える腹部の複相ビーム砲にエネルギーを溜める。
- フレアの攻撃に気がついたエデューは、反撃する方法を探すが、こちらは既に武器も無い。
- それでは相手を討ち取ることは到底無理な相談だった。
- とは言えこのままやられるつもりも毛頭無かった。
- エデューは咄嗟にグロウズの右足でフレアの胴体を蹴りつた。
- しかしヒューは構わずに発射した。
- 放たれたビームはグロウズの右足を破壊し、その勢いで機体も宙に吹き飛ばす。
- だが結果として、グロウズの右足は銃口に蓋をするような形になり、ビームの発射口で右足が爆発したことで、発射口もその熱で変形しフレアのボディにもダメージを与える。
- また爆発の衝撃はフレアそのものも弾き飛ばした。
- どちらもコックピットに大きな衝撃が襲い、エデューもヒューも気を失い、力なく宙を飛ばされていく。
- 左足だけ胴体に付いた状態で、煙を上げながら海に向かって落ちていくグロッグ。
- 片やフレアは、胴体だけになってケルビムの甲板上に落ちた。
- それがこの戦いの最後の攻撃の結末だった。
-
- どの機体もボロボロになりながら、戦闘は一応の決着をみたのだった。
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