- ヴォードはワイングラスを傾けながら、1人体の底から湧き上がるような高揚感に身を委ねていた。
- ここまで順調過ぎるほど、自分の思い描いた通りに事が運んでいる。
- ブルーコスモスの復活から、地球連邦政府での発言力を取り戻すところまで、全てが想定したとおりに。
- そして長年の夢だったものがもう少しで叶うことに、気持ちが高ぶるのを抑える事は出来なかった。
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- ヴォードの両親はロゴスの末端の構成員だった。
- そして常々役員になり、絶大な権力を手にすることを目指して奔走していた。
- 前の盟主であったジブリールにとっては良い駒だったのだろうが、それなりには気に入られたらしく、彼のお零れの恩恵を受けて、割と裕福な幼少期を過ごした。
- 欲しい物は大抵の物は手に入ったし、他の子供達よりもずっと良いものを着て、食べていた。
- しかし戦争によってロゴスの行為が悪事として世に知れ渡り、ジブリールは戦死、両親も民衆に追われるように全ての財産を手放す羽目になってしまった。
- そこから暫くは一転して、貧しくひもじい生活を強いられる。
- ヴォードにとっては思い出したくない、屈辱の日々だ。
- 今まで自分に媚びていた仲間達も、掌を返したように自分を目の敵にし、酷い時は石を投げつけられた。
- たちまち孤独になってしまったヴォード。
- またその日の食べ物もやっと口に出来るという日々に、思春期だった彼の心は荒んでいく。
- この日々をもたらしたデュランダルというコーディネータの存在が憎かった。
- 逆恨みだとしても、その思いは日を追うごとに増すばかりだった。
- だから彼はコーディネータを上回る力を欲した。
- そこから再び這い上がろうと、コーディネータという存在を超えてやろうと努力した。
- 人の何倍も勉強し、世界すらも支配できる権力を手に出来るように、ある意味純粋に上を目指した。
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- やがて小さなベンチャー企業を起こし、それを大きくしながら業界内での力を徐々に強めていった。
- そしてようやく、業界でもトップの権力と財力を手にし、ブルーコスモスの再建へと着手する。
- 世界の権力者、為政者に対する影響力を強めて、かつての裕福な暮らし、栄光を手にするために奔走した。
- だがまたしても立ちはだかったのは、ラクスというコーディネータだった。
- ブルーコスモスを再建するよりも先に、ESPEMという組織を立ち上げ、地球圏から争いを無くそうと呼びかけた。
- あろう事かそれに大半の国家、そして民衆が賛同し、ブルーコスモスの発言が入り込む隙を失った。
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- この出来事を経て、彼がコーディネータそのものを憎むようになるのに、時間は必要無かった。
- そしてブルーコスモスを復権し、膨大な財力を手にした今、復讐するチャンスが訪れたのだ。
- やはり中にはラクスがコーディネータということで、疎んじる者もいることを掴んだ。
- そんな輩に、入念に下準備を行い、少しずつ地球の国家に新生ブルーコスモスの意志を浸透させ、ついに為政者をも動かすだけの権力を得た。
- こうなったら国家ですら自分の思いのままだ。
- 自分の頭脳と力がそれを成しえているのだと思うと、笑みが自然と浮かんでくる。
- それを何とか押し殺そうとしても、抑え切れない。
- かつて思い描いた未来に立っているのだから。
- そしてこれからも、いやこれからこそ、自分の思い通りに世界が動いていくことを、信じて疑っていなかった。
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PHASE-35 「崩れ行く平和」
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- ヴォードは1人の世界に浸っているかのように、ワイングラスに入っている、血のように赤いワインを優雅に回して、それを楽しんでいる。
- だが今は独りではない。
- 部屋に居るのは1人だが、通信をしている最中なのだ。
- モニタの向こうに映っているのは、大西洋共和国の大統領にして、新しく組み直された地球連邦政府の代表となったエルリックだ。
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- 「では予定通りに宣言すれば良いのだな」
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- エルリックは渋面でヴォードに確認を取っている。
- まるでヴォードの方が立場が上であるかのように。
- 実際まるでではなく、共和国、そして連邦政府の代表としてエルリックが表舞台に立っているが、実権はヴォードが握っていた。
- 最初こそは利害関係の一致により対等な立場で話をしていたが、大西洋共和国の予算への追加寄付や民衆の反論意見を抑えるための組織的な展開等、エルリックは借りを作る一方で次第に頭が上がらなくなっていた。
- 次の大統領を決める選挙でも、ブルーコスモスの組織票が無ければ、確実に降ろされていたであろう。
- 今やヴォードの、ブルーコスモスの後ろ盾なくして、大統領の椅子に座れない状況なのだ。
- そのためエルリックは、飾り物になりつつある今のポジションを内心疎ましく思っていた。
- その相手が自分よりも年下の若造であるというのだから、尚気に入らない。
- 本来ならば自分の方こそ偉く、誰かの指図を受けることは無い筈だという思いがある。
- だがそれを口にしてしまえば、たちまち大統領の座から降ろされ、折角手にしている今の権力すらも取り上げられてしまうことは間違いないため、敢えてそれを言わないが。
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- 「そうですよ。この世界にはやはりコーディネータなどという自然に逆らったものは不要だということを、世間にハッキリと知らしめれてやらないと、誰かがね」
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- ヴォードはそれらも全て悟りきった様子で、エルリックの方は見ようとせず、相変わらずワイングラスを見つめたまま、口の端を持ち上げて凶暴な笑みを浮かべる。
- ヴォードはヴォードで、内心では欲望に塗れた俗物と、エルリックのことを嘲笑っていた。
- それを思わず口に出しそうになるのを、グラスに残っていたワインと一緒に流し込むようにぐいっと飲み干すと、そこでようやくエルリックの方へ向き直る。
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- 「貴方だってそう思っているのでしょう」
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- その口調こそ穏やかなものだが、反論は許さないという脅しも含まれている。
- それを示すように、ヴォードの眼光は鋭く光っている。
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- 「ま、まあな」
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- 歯切れが悪いながらも、睨まれてその脅しを跳ね返すことも出来ず、また本当のことなので否定は出来ない。
- ヴォードはその返事に満足そうに頷くと、言葉を続ける。
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- 「なら何も問題ないじゃないですか。私にとっても貴方にとっても、この行動に何ら疑いを挟む余地は無い。何、宣言するだけですから簡単なことですよ。後のことはこちらでお引き受けしますから、さっさとお願いしますよ」
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- そう言い置いて、何か言いたそうなエルリックの言葉を待たずに、通信を切った。
- 今度こそ1人になった部屋で、ヴォードは高笑いを堪えて、喉元を鳴らして笑い声を零す。
- 地球で最も巨大な国家の大統領でありながら、自分の意に反する言動は出来ない操り人形と化しているのだから、先ほどのエルリックは、ヴォードの目には哀れであり、滑稽に映った。
- そして地球で最も大きな発言力を持つ代表を意のままに操れるなど、凡人には到底出来ない高みに来たのだと、体中を快感が駆け巡るような感覚すらする。
- 今ならコーディネータにも負けないと、手にした権力に酔い痴れる。
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- ヴォードは一頻り笑うと、呼吸を整えながらこれからのことに思いを馳せる。
- そう、地球圏で強大な権力を手にするという計画の第1段階は終了したのだ。
- 次の段階に行動を移さねばならない。
- そのための下準備が、コーディネータをナチュラルの、人類の敵だと認識させることだ。
- さらにその先のことを考えながら、独り言を呟く。
-
- 「やはり人類には共通の敵がいなければ一つにまとまらないんだよな」
-
- そういう意味では、かつての盟主達は自分達にとって本当に都合の良い敵を示してくれた。
- 後はもう一度、連邦政府の代表たるエルリックが宣言すれば、こちらの意志は示される。
- まあ最初は色々と反対する輩も多くいるだろうが、それも想定内だ。
- やがては地球の国家は全て自分の元に跪くように、少しずつ教育してやればいい。
- そう、全ては青き清浄なる世界のために、だ。
- 己の私利私欲のために、コーディネータを全て抹殺せんとするヴォードの野望は、まだ始まったばかりだ。
- そのためにこれまで苦しい思いをしながら生きてきたのだから。
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- ヴォードは空になったグラスに再びワインを注いで、弄ぶように手の上で回し始める。
-
- 「やがて世界は、このワイングラスのように私の手の中に落ちるのだ。ふふふ、はははははっ!」
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- 抑えきれない衝動に、ヴォードは高笑いを我慢するのを止めた。
- やがて自分の言動に口出しする者は居なくなるのだ。
- こんなところで1人笑っていても自分の勝手だと、すっかり奢り高ぶっていた。
- そんなヴォードの手の中にあるワインは、先ほどにも増して、血のように禍々しく赤い光を放っているように見えた。
-
*
-
- エミリオンはオペレータ席で通信ログの確認を細かく確認していた。
- ブレインのことを監視すると決めたものの、自分の仕事があるし、ザイオンやレイチェルに知られないようにするためには、それはきちんとこなさなければならない。
- そのためブレインの行動をずっと見張るわけにもいかず、仕事の時はこうして通信状況を常に監視しているのだ。
- そして今度はいつ連絡を取るのかと、戦々恐々と身構えていた。
-
- と、不意に通常の回線に割込みが入ってきた。
- ブレインの通信かと色めき立ったが、発信元も周波数もハッキリしているためそうではない。
- エミリオンは違うことに多少ガッカリして、内容の確認をした。
- しかし今度は別の意味で驚いた。
- それは地球連邦政府からの、全世界に向けた緊急放送を示唆する内容だった。
-
- 「隊長、艦長!」
-
- 慌てて上官達を呼び、正面の大型スクリーンに映像を映し出す。
- 艦長席付近で今後の予定を確認し合っていたザイオンとレイチェルは、只ならぬ様子のエミリオンに何事かとスクリーンに目を向ける。
- そこには、新しく地球連邦政府の代表となったと報告するエルリックの姿が映っている。
- 一体何を演説するつもりなのかと、突然の放送に誰もが釘付けになる。
- ザイオンはモニタから目を離さずに、艦内全てにこの放送を流し、手の空いている者は見るようにと通達を出す。
- 指示を受けて、部屋で休んでいたミライやリュウ、整備の指示をしていたブレインも、一様に今していることを止めて映像を見つめる。
- これが、これから起こる混乱の引金になることも知らずに。
-
- クルー達が見つめる中で始まった演説で、エルリックは一つ咳払いをすると、淡々とした口調で語り始める。
-
- 「私は地球連邦政府の代表として、皆さんに重大なことをお知らせせねばなりません。先ずはこれをご覧下さい」
-
- 仰々しい挨拶から入ったエルリックは、次に何かを録画、編集したと思われる映像を流す。
- それは宇宙でケルビムを巻き込んで行われた戦闘だ、地球へ降りるキッカケとなった。
- 強襲してきたデュランダル派の部隊が地球軍に攻撃している様が、鮮明過ぎるほど映し出されている。
- またシャイニングフリーダムがいくつもの機体を戦闘不能にしていく様子が、捉えられる。
- それは地球軍のMSを相手に、圧倒的な力を示している。
- この戦いでキラがMIAになったということが、ミライの胸にまた影を指す。
- だがそんなミライの悲しみを踏み躙るように、エルリックは言葉を挟む。
-
- 「我々は話し合いをしたいと申し入れましたが、それを無視して彼らは地球防衛の任務に就いていた部隊を襲撃、地球へと降りてきました」
-
- 勝手なことを、とクルーの誰かが毒づく。
- ザイオンも内心、特にケルビムを良いように使われたことに対して怒りを覚える。
- あの行動の責任は自分にある。
- 戦況の混乱で命令を受けることも出来ず、自分の独断で地球への降下に踏み切ったのだから。
- でもまさかこんな形で利用されるとは思ってもみなかった。
- あの時はそうしなければ、自分もクルー達も此処にはいなかったかも知れないのだ。
- そんなことを頭の片隅で考えている間も、エルリックの演説は続いている。
-
- 「やはりこの混乱の要因はESPEMにあると考えます。そしてその組織のトップにいるのはラクス=ヤマト、コーディネータです。またこのMSはキラ=ヤマトがパイロットです。彼もまたコーディネータです。これはコーディネータがそれだけ危険な思想、そして力を持っていることを示している他なりません」
-
- ケルビムのクルー達は、ナチュラル、コーディネータ問わずに、この演説に不快感を抱いた。
- それはこの戦いをその現場にいて経験した者にとって、あまりにも一方的に脚色された映像は、見るに耐えないものだったからだ。
- 地球連邦にとって都合の良いシーンばかりを繋ぎ合わせた、プロパガンダとして利用しようとしていることがありありと見える。
- 露骨過ぎて、この映像と演説をまともに受け入れる者は少ないと思われた。
-
- しかし続いてエルリックから発せられた言葉に、ミライ達は全員が呆気に取られ、そして言葉を失った。
-
- 「よって我々地球連邦政府は、全てのコーディネータの地球圏からの排斥、及び宣戦を布告します」
-
- 何をどう飛躍して物事を捉えたらそうなるのだろうか。
- 幼稚とも言える理論に、呆れてものも言えないというのが正直なところだ。
- だが彼は一国の、今は地球連邦政府の代表者だ。
- その発言はただの冗談では済まされない。
-
- 「一体これは、何の冗談なのですか?」
-
- ミライは立ち上がり、思わず呟く。
- ケルビムのクルー達も、口には出さなくとも同じ思いを抱いていた。
- そんなミライ達の驚きを余所に、エルリックは宣言を続ける。
-
- 「地球に混乱をもたらすコーディネータと戦うために、地球各国は再び同盟関係を結び、連邦政府として立ち向かうべきです」
-
- それは昔の地球連邦政府を復活させる、と言うことだ。
- 今は一応協力関係ということで各国間で申し合わせをしているが、地球の一国家としては機能していない。
- いくつもの国がそれぞれの政策を行い、必要なことを協議したりする程度だ。
- それを一つの国家としてまとめ、コーディネータに立ち向かおうと言うのだ。
-
- 驚きはケルビムクルーに限ったことではなかった。
- 宣言と同時に、世界中に激震とざわめきが走った。
- 戦争を知る世代の人達は、同じ過ちが繰り返されると戸惑いや不快感を示す。
- それを止めるためのESPEMだと知っているからだ。
- またエルリックの悪評は耳に届いている。
- そのため、彼を支持する世論は多くはなかった。
-
- だが戦争を知らない若い世代の中には、エルリックの宣言に同調する者も出始めた。
- どう努力をしても、自分達では潜在的な能力で敵わないコーディネータに対する嫉妬や憎しみは、ナチュラルの人々の心に今尚燻っている。
- 特に若い世代では顕著だ。
- それがエルリックの演説で、一気に点火したのだ。
-
- 「でなければ、この惨劇がまた繰り返される!我々は二度と悲劇を生まない為にも、手を取り合うべきなのです」
-
- 熱っぽく、如何にも言い分が正当であるかのように力説するエルリック。
- この宣言に全ての国家が賛同するように願う、と締め括り、映像は打ち切られた。
- 誰もが狐につままれたように、呆然とモニタの方を見つめたまま佇んでいた。
- まさかこのような事態になるなど、誰が想像していたであろう。
- エミリオンですら、エルリックの演説に気を取られて、ブレインが新たに通信を取ったことに気付かないでいた。
-
*
-
- 「何だこの放送は!?地球連邦政府は何を考えているのだ!!これが連邦政府の、地球に住む人々の総意だとでも言うつもりなのか!?」
-
- カガリは放送を見ながら、拳で机をドンと叩いた。
- 緊急に地球連邦政府から発表があるということでテレビモニタをつけてみたのだが、その内容がこれではカガリの怒りは尤もだ。
- 流された映像も、都合の良いところだけが抜粋されているだけで、カガリやアスランの目から見れば3文芝居よりも酷い茶番にしか見えない。
- こんなくだらない演説で、オーブ首長達の心が動くとでも思っているのだろうか。
-
- だが民衆がこの映像に踊らされることがあることも知っている。
- 彼らが愚かなのではない。
- 巧みにそう信じ込まされるのだ。
- 都合よく選ばれた情報のみしか与えられないため、判断基準がそれしか選びようが無い状態のために。
-
- 民衆達の声が高まれば、ESPEMは駐留地域から撤退、最悪組織そのものが解体されるということになるだろう。
- ようやくラクスを中心に、戦争を無くすための基盤としてここまでやってきたのに、それが全て水の泡になりかねない。
- このオーブを始め、ヤマト派と呼ばれるラクスらを支持する人達の数は地球圏で圧倒的に多いと言われるが、この映像が流れたことでどうなるかは分からない。
- 人の心の善なるものを信じたいと思うが、こればかりは他人が決められるものではない。
-
- だがカガリが危惧するのは、ESPEMのことだけではない。
- プラントがこれを受けてどう動くか、ということだ。
- この宣言に、プラントが黙っているはずが無い。
- ましてザラ派と呼ばれる強硬派は、攻撃を受けたなら必ず報復措置として何らかのアクションを起こすだろう。
- 心ある者が数多く評議会に居るためすぐに開戦ということにはならないないだろうが、それでも一部の者達がテロ行為に走れば、地球連邦としてはそれを全てコーディネータのせいにしてプラントを攻めるだろう。
- そうなれば、いくら戦争を望まないとしても防衛のために衝突することは必至で、世界中を巻き込んだ戦争が再び起きてしまう。
- 再び世界がナチュラルとコーディネータの間で2分されようとしているのだ。
- それを止めることこそESPEMの役割なのだが、今はその組織が真っ先に攻撃のやり玉として上がっているのだ。
- ラクス=ヤマトというコーディネータがトップにいるがために、地球連邦の、いやそのバックにあるブルーコスモスの策略に嵌ってしまったのだ。
- だがそれはラクスのせいではない。
- 連邦政府とブルーコスモスの暴挙を許した自分達にも責任があると、カガリは対応の甘さを悔いた。
-
- カガリがそう考え込んでいる時、アスランが一通の書面を受け取った。
- アスランは演説を聞いても冷静に対処していたが、その書面を見た途端、その端正な表情を歪めた。
-
- 「カガリ、地球連邦政府から書面が届いた」
-
- アスランが怒りを露にしながら、手にした書類をカガリに差し出した。
- 口調もいつもより怒気を含んでいる。
- 普段感情を表に出すことが無いアスランを、珍しいなと思いながら書類を受け取った。
- だが書面に目を通し、その怒りは尤もだと理解した。
- カガリ自身も怒りを抑えられず、ワナワナと震えたかと思うと、真っ赤な顔をして書類ごと掌で机を叩きつける。
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- 「これを本気で考えているのか!?ふざけるな!!」
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- その書面には、地球上の全ての国家は連邦政府に同調し無条件に傘下に入ること、居住しているコーディネータを全てプラントに追い返すこと、などがしたためられていた。
- オーブとしては到底受け入れられるものではないが、演説をした直後に各国にこんな書面を渡すなど、手際が良すぎる。
- ESPEMの襲撃を受けた時点で、こうなることを予想していなかったわけではない。
- だが相手はこちらの対応を上回るスピードと手口で、手を打ってきた。
- 結局それを防ぎきれず最悪の事態になってしまったことに、カガリもアスランも拳を握り締め悔しさを押し殺すことしか出来ない。
- だが彼らの感情を差し置いて、世界は戦争への道を坂道を転がり落ちるように進み始めていた。
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