- エミリオンは基地内をミライの姿を求めて探し回っていた。
- 新型MSの所へ案内したと聞いたのでそこへ行ったが、そこにミライの姿は無かった。
- 何処に行ったのだろうと思考を巡らせると、ミライは辛い時や気分が落ち込んだ時、景色が眺められる広い空間で佇む癖があったのを思い出す。
- きっとそこに居る筈だと、そんな場所を探すことにする。
- 思ったより基地内はずっと広く中の構造もよくわかっていないので骨が折れたが、果たしてエミリオンの予想通り、基地内のテラスのようになっている空間で沈んだ様子で佇んでいるミライを見つけた。
- エミリオンはようやく見つけることが出来てホッと安堵の息を吐きながら、後ろからゆっくりと近づく。
-
- 何を眺めているのだろうかと、視線をミライが向いている方に向けるが、そこには大きな窓があるものの、基地が岩石で覆われてカモフラージュされているため、見えるのはゴツゴツした茶色い岩肌だけだ。
- これでは外を眺めて気持ちを落ち着けるということも出来ない。
- それもあってか、ミライは手摺にぷかぷかと寄り掛かって俯いている。
- ミライはエミリオンの気配に気がつきチラリとそちらに視線をやるが、すぐに床に視線を戻して押し黙る。
- 未だ相当に悩んでいることが窺い知れる。
- その様子にエミリオンはこれから自分がしようとしていることに胸を痛めるが、ミライが自分のこれからのことを自分で決めるためには、やはり話をしなければならないと気持ちを奮い立たせて、ミライの横に自分も同じように並んだ。
- しばらく黙って岩肌の景色を見つめていたが、視線はそのまま真面目な表情で、声にあまり感情を込めずに今の状況を伝えた。
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- 「バークス隊長がフリーズで出撃することになりました。ラクス様を助け出すために」
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- それを聞いて驚きエミリオンの方をパッと振り向くミライ。
- 自惚れている訳ではないが、フリーズは自分以外には操縦出来ないものだと思っていた。
- それをザイオンが乗ることにも驚いたが、ラクスの救出を諦めずに行動を起こすことにはもっと驚いた。
- 本当であれば娘である自分が真っ先に心配して行動しなければならないのに、今の自分は戦うことを恐れて助けにいくことすら出来ない。
- 歯痒さと情けなさが込み上げて自分をまた責めて、唇を噛んでますます深く俯く。
- エミリオンは慌ててそんなミライを慰める。
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- 「何もバークス隊長はミライ様を責めてはいません。少しでもミライ様の負担を軽くするために、何より隊長自身の意志で出撃すると言ったのです」
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- それは姉を思い起こさせる優しさで、ミライの体と心を優しく包み込むように感じられる。
- しかし今のミライにはその優しさが痛い。
- 自分が行動すべきことが出来ていないのに、叱られるどころか慰められて、自分自身が情けなくもなる。
- ミライの心は底が見えないほど深い闇の中を彷徨っていた。
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PHASE-41 「新たなる意志」
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- ザイオンが行動した話にますます沈んでいくミライの横顔を見つめて、エミリオンは一つ息を吐くとポツポツと語りだした。
- 自分がESPEMに居て、ラクスから何を学んできたのか、どうしてESPEMに入ったかを。
- そして今尚強く心に残ることが今のミライには必要だと思い、それを話して聞かせる。
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- 「私はラクス様からたくさんのことを教わりました。でもその中で一番印象に残ったものがあります」
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- 言いながら視線を、岩石に覆われて何も見えない窓の方に向ける。
- それを思い返している内に、密かにラクスは自分のことを見守ってくれていたんだという思いが湧いてきた。
- ESPEMのスタッフとして迎え入れてくれた時も、ケルビムのクルーに手を上げた時もそうだ。
- 最初は反対の姿勢を示したが、結局自分の意志を尊重して思うとおりにやらせてくれた。
- ミライにこれからのことをどうすべきか気付いてもらうためだったが、改めて自分もその言葉を実践しなければならないと思う。
- 今何のためにその行動を起こしてここにいるのか、その意味を自らに問い掛ける。
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- エミリオンはケルビムのクルーに立候補した時、一応MSのパイロット適正検査も受けた。
- どうせなら可能性のあることには何でもチャレンジしたかった。
- しかし検査の結果適正無しと言う結果に終わり、パイロットになることは出来なかった。
- それでも前線に出ることを望み、だからCICとして艦に乗り込んでいる。
- 少しでも自分が平和のために貢献しているのだということを実感したかったからだ。
- だが実際はどうだろう。
- 安っぽい英雄像に溺れて、本当の目的を見失ってはいないだろうか。
- ESPEMで平和のために働けることを誇りに思っていたのに、その心をどこに置き去りにしてしまったのだろうと恥じる気持ちがある。
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- もし自分がMSを操縦出来たらと思うことが、これまでの戦いの中であった。
- パイロット達が命がけで戦っているのを見ていることしか出来ないことが、歯痒く思えたから。
- 同時にパイロットで無くて良かった思うこともあった。
- 戦場で死ぬかもしれない恐怖と、自分が罪人にならなくて良かったと思う安堵とで。
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- 戦争の怖さ、悲惨さを知っている筈だった。
- エミリオンはデストロイの虐殺で両親を失っている。
- 失う者の痛みは充分に分かっていた筈なのに、戦場に出るということはそれを奪う側にもなるということにミライのことを見ながら気付いたのだ。
- ミライもそれに気付いたからこそ、今悩んでいることも分かっている。
- では艦を降りれば解決するのかと言うと、そうでは無い。
- 確かに自分達が傷付けることも傷付けられることもなくなり、悲惨な現状を直視せずに済むだろう。
- だが自分が艦を降りても戦いは続き、傷付け傷付けられる人はまたたくさん出てくる。
- 自分以外の人達にその役割が移行するだけだ。
- 今ようやくESPEMがすべき本当の戦いが、自分が立ち向かうべきものの正体が見えてきた。
- だから今こそ逃げずに、立ち向かわなければならないと思う。
- それはミライにも望み、そして必要なことだ。
-
- 「まず決める、そしてやり通す、それが物事を成す唯一の方法だと言うことです」
-
- 何をするのか決めなければ行動を起こすことは出来ない。
- そしてそれを最後までやり通さなければ、望んだ結果を得ることが出来ない。
- たとえ望みどおりの結果にならなくても、やり遂げたことが自信になり次へと繋がってくる。
- エミリオンはケルビムのCICを通してたくさんのことを学んだ。
- 戦争は止められなかったが、だからこそ人と人が争うことの悲しさや虚しさを改めて知った。
- そして戦いとは、何も戦場に出て銃を撃ち合うばかりではないことも。
- 今のエミリオンには自分がすべきことがはっきりと見えていた。
-
- 「ミライ様はどうされたいですか?何をお考えになったからフリーズに乗られたのですか?それを決めるのは私達ではありません。ミライ様ご自身がお決めにならなければ、きっと成すべきことを出来ないと思います。誰も強制などしません。ミライ様が本当にやりたいこと、すべきだと思うことをしてください。私達はそれを支えるだけです。それが私達の戦いなんです」
-
- 銃をこの手に取れないのなら、手に取って戦う人達の支えになろう。
- 痛みや罪をその人達だけに背負わせずに、一緒になって背負っていこう。
- 戦争の辛さ、虚しさを知っているからこそ前線でその虚しさを多くの兵士達に語り掛けることが、自分に出来る戦争を止めるための戦いだと思う。
- それがエミリオンの決めた覚悟だった。
- だから何も1人で抱え込むことは無いと訴える。
- クルー達、ESPEMの人間は皆一緒に戦っているのだ。
-
- そんなエミリオンの問い掛けにミライはじっと考え込む。
- エミリオンが発したラクスの言葉。
- 全くその通りのシンプルな言葉だが、それだけに実践するのはとても困難なことだ。
- 誰もが簡単に決められないから悩む。
- そしてやり通すには必ず困難や壁が立ちはだかり、容易なことでは無い。
- また必ずしも望んだ結果が得られるとは限らない。
- 全てのことがうまくいく人生など、何の刺激も無いつまらないものだから。
- それに人生を謳歌するだけであれば苦しいこと全てに立ち向かう必要も無い。
- だが今悩んでいることは、苦しみから逃げているだけではないかと思えた。
- だから自分は今何がやりたいのかをもう一度思い返してみた。
- するとその答えは呆気ないほど簡単に見つかった。
-
- この世界から争いを無くしたい。
- そのために母を助けたい。
-
- 思えばフリーズに最初に乗ったのは、そういった気持ちからではなかっただろうか。
- ただ何の罪も無い人が非常理な暴力で傷付けられるのを目の前で見せられて、それを黙って見ているだけなど出来なくて、そんな人達を守りたいと思ったからMSに乗って戦った。
- それが相手を傷付けることにもなるということに気付かずに。
- 戦いながらそれに気が付いて、傷付けることで相手に憎まれて、どんな理由があったにせよ銃をその手に取った時点で自分もまた彼らと同罪なのだと知った。
- だから戦うことが怖かった。
- 家族にも友人にも恵まれて育ったミライは、戦争の悲惨さは話でしか知らなかった。
- 自分が巻き込まれることも被害者になることも、まして加害者になることなど想像もしていなかった。
- 人を傷付けることは怖いしいけないことだと自覚している。
- それでも母を助けたい、そのために力が欲しいと思った気持ちは、きっと間違いじゃない。
- ではそのために力を持つことが悪なのか、振るうことが罪なのか。
- それは違うと思う。
- もしそうだとしたら父は悪だと言うことになるが、そうは思わない。
- 父はたぶん全て理解したうえで、敢えて罪を背負って戦い続けたのだと思う。
-
- −何も出来ないと言って何もしなかったら、もっと何も出来ない。−
-
- 父が話してくれたことがある言葉が今強く心に響く。
- 今の自分が正に、もっと何も出来ない状態ではないだろうか。
- 何も出来ないかも知れなくても、何か行動を起こさなければゼロはゼロのまま。
- ゼロは掛けても他の何の数字にも変化は出来ない。
- それでもそれを変えるには新しいものをプラスしなければならないのだ。
-
- それに気が付いたミライの心に、僅かだが光が差してきた。
- そして現実から逃げてはいけないという強い思い、ミライ本来が持つ心の強さが戻ってくる。
- もし引金を引くことが罪だと言うならば、その罪を背負っていこう。
- 相手を傷付けることで憎まれると言うならば、その憎しみを受け止めよう。
- それでも守りたいもの、譲れないものがある。
- そして自分が戦って相手を止めることで、罪を犯す人を減らせることが出来るかも知れないという考えも生まれてきた。
- それに気が付いてしまえば、気持ちはずっと楽になった。
- 力が正義や悪を決めるのではない。
- 心が、それを操る人がその力のベクトルと意味を決めているのだ。
-
- 少しずつ分かってきた気がする。
- 父が自分に見えていないと言ったものが。
- 母が自分にアルティメットフリーダムを託した理由が。
- 戦うことが正しいことではないが、それでも戦う必要があるのなら何とどう戦えばいいのか。
- それは途方も無いことだが、父と母はその困難にずっと立ち向かっていたのだと思うと胸が熱くなった。
- やはり父と母を改めて誇らしく思う。
- そんな両親の娘として恥じないように、自分も立ち向かおうと心に決めた。
- 敵と戦うのでは無く、戦争と言う行為と戦うために。
- それが例え夢物語だとしても、人は人の意志でその手にとった銃を置く日が来ることを信じて。
-
- ミライは決意を秘めた表情をゆっくりと上げて前を見据えた。
- まだ全ての迷いが晴れたわけではない。
- それでも今自分が何をしたいのか、何をすべきなのかは分かった気がした。
- ゆっくりとエミリオンの方を振り返る。
- そしてありがとうございますと微笑む。
- 大切なことに気付くことが出来た感謝の意を込めて。
- その笑顔は悲壮に満ちたものでは無く、かといってこれまでのような無邪気な子供の笑顔でも無い。
- 大きな壁を乗り越えた自信と決意に満ちている凛々しいものだ。
- 言うなればラクスを彷彿とさせるような、そんな笑顔。
-
- 「ありがとうございます、エミリオンさん。私もようやく決心が着きました。苦しみから逃げずに立ち向かわなければ、きっとこれから先に待ち受ける困難も乗り越えられませんわ」
-
- そう言うミライの表情にエミリオンはラクスを重ねた。
- やはりミライはラクスの娘であり、その意志と力を継ぐに相応しい人物なのだと強く思った。
- この目の前の少女であれば不可能も可能にしてしまう、そんな期待を抱く。
- 同時にその華奢な体に掛けられた期待がどれほど重いのだろうかと心配にもなる。
- そしてラクスもそんな期待を背負いながらそれに応えるために、今のミライのように悩みながら行動を起こしてきたのだろうと思うと、改めて尊敬の念を抱かずにはいられない。
-
- 力強く床を蹴って踵を返したミライの後姿を複雑な表情で見つめながら、エミリオンはともかくミライが無事にラクスを連れて戻ってくることを強く願った。
-
*
-
- ミライがブレインの姿を求めて港口に戻ってきた時、フリーズは既に発進準備に入っていた。
- そのコックピットでは、ザイオンが少し緊張した面持ちでコンソールパネルでチェックを行っている。
-
- エミリオンがミライを探している間、ザイオンは必死に機体のスペックなどを頭に叩き込み、シミュレータによる擬似操縦を行った。
- 操作方法はかなり特異な改良が施されていたが、彼自身厳しい実戦を潜り抜けた経験が蓄積されている。
- その経験から来る感というものは馬鹿にならない。
- ベテランのパイロットの中にはその感のお陰で生き延びたというケースも少なくないのだ。
- ザイオンにもそうした感覚が既に身に付きつつあった。
- それもあって完璧ではないが、ともかく戸惑わずにフリーズを扱えるレベルまで操縦方法は体に叩き込んだ。
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- そこまで出来ると、今度は慌しく出撃準備に入る。
- 状況に一刻の猶予も無い。
- ぶっつけ本番になるが後は実戦の中で微調整をするしかないと腹を括る。
- ブレイン達も全力でMSの調整を行い、すぐに出撃準備は整った。
-
- 「ザイオン=バークス、フリーズ、出るぞ」
-
- ザイオンの掛け声と共に、前方のハッチが開いてフリーズはそこから勢いよく飛び出していく。
- だが月まではかなりの距離があり、フリーズのエネルギーだけでは辿り着くので精一杯だ。
- そのため月までの飛行に時間とエネルギーの消費を抑えるため、背中には外付けのエネルギーで動く大型のブースターを装備している。
- これで月に辿り着いても充分に戦闘するだけのエネルギーは残っている筈だ。
-
- ザイオンは少しだけ実際の操縦感触を確かめるように基地の周辺を旋回する。
- 操縦する感覚に違和感は無い。
- 大丈夫、シミュレーションの通りだと言い聞かせると、素早く方向転換して真っ直ぐに月のESPEM本部へ向かってペダルを踏み込んだ。
-
- その発進を見送ったミライはブレインの元に寄り、ザイオンに遅れてはならないと決意の篭った表情でブレインに告げた。
-
- 「マットソンチーフ。私はアルティメットフリーダムに乗ります。発進準備をお願い致します」
-
- これ以上悲劇を起こさせないために、ミライは決めた。
- 父が乗る筈だったMSに乗って、その意志と力を継いで守るために戦うのだと。
-
- そんなミライを見つめるブレインには、一瞬ミライがキラの姿とダブって見えた。
- キラを彷彿とさせるような優しさと決意に満ちた表情に、胸の内にあった焦りや不安といった気持ちが和らいでいく。
- それを感じたブレインはますます確信を持った。
- ミライならばアルティメットフリーダムを乗りこなせると。
- 間違いなくキラの意志と力を継ぐ者だと。
- フリーズの調整で疲労はあるが、それにも勝る高揚感と決意と希望が漲ってくる。
- すぐにスタッフを招集して、今度はアルティメットフリーダムの最終調整に取り掛かる。
- ミライもパイロットスーツに着替えるとコックピットに乗り込み、スペックの解析や調整に入る。
-
- 私は父様のようにうまく操縦出来ないかも知れません。
- それでも今母様を助けるために、この世界が誤った方向に進もうとしているのを止めるために、貴方の力を貸してください。
-
- ソフトウェアやOSの調整をしながら、ミライはアルティメットフリーダムに心の中で語り掛け、最後の駆動スイッチを押した。
- するとアルティメットフリーダムはミライの思いに応えるかのように、コックピットの機器が命を吹き込まれて次々と光を灯していく。
- 薄暗かったコックピットがその光に照らされて、目の前のコンソールには見慣れた『G.U.N.D.A.M』の頭文字が浮かび上がる。
- それを祝うかのようにハロ達がコックピットの中で、浮かれた声を発して飛び跳ねる。
- そんなハロ達に、父と母、兄と姉が傍に居てくれるような勇気を貰い、笑顔を浮かべる。
- そして自分は1人では無いことを思い出す。
- ザイオンが一緒に戦ってくれて、エミリオンやブレインが支えてくれる。
- かつてはレイチェルやエデューも気に掛けてくれていた。
- 自分1人だけが苦しんでいるような気になっていたが、こんなにもたくさんの人達が傍にいてくれていたことに気付かなかったことを少し恥じる。
- 同時に彼らの気持ちを無駄にしないためにも、逃げずに立ち向かうのだということを改めて強く心に誓う。
-
- その瞬間ミライは体の奥底で何かが弾けるような音を聞いた気がし、急に視界がよく見えて感覚が鋭くなった気がする。
- だがそれは決して不快な感じでは無い。
- 今までも戦闘中に同じような感覚はあったが、中身というか感情が随分と異なる。
- これまでよりもずっとクリアに、落ち着いた気持ちで、大袈裟に言えば宇宙と一体となったような感じさえする。
- 根拠は無いが、アルティメットフリーダムをしっかりと操れる自信がミライの中にふつふつと湧いてきた。
- ぎゅっと操縦桿を握り締めて、ミライは真っ直ぐ恐れの無い瞳で眼前のモニタを見つめた。
-
- 「ミライ=ヤマト、フリーダム、行きます」
-
- ミライの力強い掛け声と共に、機体に繋がれていたコードが次々と剥がれ落ちていく。
- 同時に機体のフェイズシフトが機体を純白と黄金に染めていく。
- 見守っていたスタッフ達にはそれが眩しく、そして頼もしく見える。
- 全てのコードが取り外されると、頭上のハッチが大きく開く。
- ミライはその頭上に見える宇宙目掛けて、操縦桿を押してフットペダルをぐっと踏み込む。
- アルティメットフリーダムはそのミライの操作に呼応するように膝を屈伸して飛び上がり、細長い通路をあっと言う間に通り抜けて宇宙へと飛び出した。
- 想像以上のパワーに最初は驚いたミライだが、フリーズを大きく上回るスペックを実感して希望が湧いてくる。
- これならば母を助けられるかも知れないという、先ほどエミリオンと話していた時とは打って変わって前向きな思いが。
-
- 宇宙空間に飛び込んだミライは、躍動感を確かめるように周囲を何度か旋回してから、スラスターから零れる光を翼のようにはためかせ、それが軌跡を残してアルティメットフリーダムは月へと飛ぶ。
- ブレイン達にはその姿が希望を携えた天使のように思えた。
-
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