- リュウとキョウコ、ナツミ、レオナの3人娘はおっかなびっくりシンの後を付いて行く。
- シンに連れられてやってきたのは、モルゲンレーテの最深部にある格納庫らしき所。
- そこまでも車に乗せられて揺れる道を山奥に入り、その山肌に作られた隠し扉のようなところから山中には不釣合いな鋼鉄の通路に入っていることからも、極秘事項に触れようとしていることが分かる。
- その移動の間中重い緊張がずっとリュウ達を支配していたが、とても長い時間降下したエレベータを降りると、そこは非常灯の灯りだけが足元を僅かに照らす部屋だった。
- 暗くて良く見えないが、どうやらMSがそこにはあるようで目的地らしい。
- 戸惑う4人を余所にシンの合図でライトがつけられ、黄金に輝くMSが照らし出される。
- あまりの眩さに目を奪われる4人。
-
- 「それはアカツキ改。オーブの理念を具現化した剣であり盾だ」
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- そこに後ろからカガリが現れ、照らし出されたMSの説明をする。
- その後ろにはユウキがリュウ達と同じような表情でMSを見上げている。
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- 突然現れたオーブの代表に驚くリュウ達だが、どうして自分達がこんな場所に連れてこられたのか、何となく気付き、リュウは複雑な心境になる。
- だが逃げるつもりはさらさらない。
- 意志の強い瞳でカガリを見つめる。
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- その視線にカガリは1人納得していた。
- リュウをマルキオ導師からオーブ軍に推薦された時は驚いたが、あの盲目の導師はこうなることも、そしてリュウに秘められた力のことも既に感じていたのだろう。
- その先見の鋭さに改めて驚きながら、今ならマルキオが推薦した理由が分かるカガリは真っ直ぐにリュウを見つめ返す。
-
- 「相手を倒すためじゃない。大切なものを守り抜くために力が必要なら、そのための力を欲するならば受け取るといい。今の君に相応しい力だ」
-
- リュウはカガリの言葉に、再び驚いて目を見開いた。
- 確かに自分はその力を欲した。
- そして今これ以上相応しい力は無いと思われる。
- だがユウキの存在に、リュウはアカツキ改を受け取ることを固辞する。
-
- 「ですが後継者としては、ユウキ様がこれを継ぐのが相応しいのではないですか」
-
- 自分はあくまでオーブ軍の一兵士、それもルーキーを脱しようかという若い兵士に過ぎない。
- そんな自分がオーブの象徴とも呼べるこの機体に乗ることで、ユウキの気持ちはどうなるのだろう。
- それを思うと自分が受け取ることは差し出がましい気がして、気後れしてしまう。
- しかし他でもないユウキが柔らかい笑みを浮かべて首を横に振った。
-
- 「確かに私は母の意志を継ごうと頑張っているが、MSの操縦に掛けては君の方が間違いなく上だ。何よりケルビムで色々なことを直に見てきた君だからこそ、このアカツキを受け取るのに相応しい。どうかオーブを守るために、その力を母上のために、オーブの国民のために貸して欲しい。だから私に代わってこの機体に乗ってくれないだろうか」
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- 嫉妬や悔しさは全く無い。
- ユウキも純粋にオーブを守りたいと思うから、自分の力を素直に認めているからこそ、リュウにアカツキ改を任せることが出来る。
- いや任せなければならないと思う。
- カガリが自分のことを信頼していないのではない。
- もっと大きな目で見て、そして今という危機を乗り越えるために必要だと思っているから、自分ではなくリュウにこのアカツキ改を託そうとしていることが分かるから。
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- そんなユウキの言葉はリュウの心に強く響く。
- 託された思いはとても重いものだが、そう遠くない未来、自分が仕える主のために何としても期待に応えたい、いや応えなければならないと思った。
- 力の篭った瞳でユウキを見つめ返し、ビシッと敬礼する。
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- 「分かりました。若輩者ですが、アカツキを預からせていただきます」
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- そのリュウの覚悟にカガリ、ユウキ、シンも力強い表情で頷く。
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- 傍らでは3人娘にも新型の量産期、M−6(エムシックス)が与えられる。
- まだ正式にロールアウトされていないが、M−1から改造、改修を繰り返されてきたMシリーズの最新型だ。
- この緊急事態に先んじて組み上げたプロトタイプ3機を、リュウを小隊長として戦場に投入することにしたのだ。
- 3人娘は新型機をいきなり与えられたことに喜びと緊張が入り乱れるが、リュウ達のやり取りを静かに見て闘志を燃やしている。
- この国を守るのは自分達なのだと気持ちを奮い立たせる。
- それに1人じゃない、同じ意志を持つ仲間達が一緒にいることは何と心強いだろう。
- それまでのどこか女子高生か女子大生のようなキャピキャピとしたノリは無く、凛々しい表情でパイロットスーツに身を包み、初めて本物のMSへと乗り込む。
- カガリ達は申し訳無さそうな、しかし頼もしげに彼女らを見送る。
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- カガリとシンは、こんな若者達を戦場に送り込まなければならない時代にしか出来なかった自分を責める。
- 自分達がもっとしっかりしていれば、彼らを戦場に送ることも、戦争を知らずに育つことが出来たかも知れない。
- 本当はその状態で次の世代にバトンを渡したかったが、理想の時代を築くことをもう自分達ではなく、次を担う彼らに譲る時なのだとも感じる。
- だから今自分が出来る精一杯のことをして、彼らのための踏み台になろうと思う。
- かつてウズミや他の偉大な先人達がそうしてきたように。
- カガリとシンは目を反らさずに、眩い光を放つアカツキをじっと見つめる。
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- リュウはそんな思いも全て包み込むように、憑き物の落ちたような表情でアカツキ改のコックピットに入り、全ての発進準備が整うと一つ大きく深呼吸をした。
- コックピットに座っていると、闘志は湧くのに頭はとても静かに冷静になっていく。
- もう迷いは無い。
- 今自分がすべきことが、はっきりと見えていた。
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- 「リュウ=サイオンジ、アカツキ、出ます」
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- 黄金の意志を抱いて、リュウはオーブの蒼い空へと舞い上がった。
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PHASE-46 「継がれる黄金」
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- 戦場に飛び出したアカツキ改とM−6の小隊は、一番圧されている海上の防衛ラインへ向かう。
- やはり圧倒的な物量に、オーブ軍は苦戦気味だ。
- だがこれ以上戦線が後退すると市街地にも被害が出る。
- 既に一般市民には避難命令が出ているが、それで100%守りきれる保証は無い。
- 過去にはシンの家族のような犠牲者を出している。
- それは悲劇でしかない。
- その時の状況を知らないリュウにも、その厳しさは理解出来た。
- ならばやはり海上で何としても地球連邦軍の攻撃を食い止めなければならない。
- いや食い止めてみせると、リュウは操縦桿を握る手に力を込めた。
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- その瞬間、リュウの中で何かが弾けるような音が聞こえた気がした。
- そこからは視界から飛び込んでくるものがとてもクリアになったように感じられる。
- 目の前の戦闘状況が制止映像でも見ているように飛び込んできて、瞬時にどうすれば良いかということに頭が回る。
- その判断から行動に移るのも、また素早かった。
- 相手がこちらに気付くよりも早くライフルを2発撃ち、2機のMSが炎の塊となって海に沈んでいく。
- そこで地球連邦軍はアカツキ改の存在に気が付くが、リュウは落ち着いて3人娘に指示を飛ばす。
- その行動、判断に微塵の迷いも無い。
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- 「キョウコは右、レオナは左から回り込むんだ。ナツミは俺の後ろから援護。まずは目の前の部隊を退ける。皆の実力ならシミュレーション通りにやれば出来る」
- 「「「はい!」」」
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- リュウの指示に3人娘も力強い返事を返して、操縦桿をそれぞれ傾ける。
- シミュレーションとは感覚も手に返ってくる衝撃も異なるが、リュウの信頼が彼女達に力と勇気を与える。
- キョウコとレオナは素早くMS形態からMS形態へとM−6を変形させると、ライフルを構えて展開した布陣の両翼のウィンダムウェーブを撃ち落す。
- その間にリュウは真正面からその中隊の隊長機と思しきウィンダムウェーブに急接近し、擦れ違い様頭部と両腕を切り落とす。
- ウィンダムウェーブは糸の切れたマリオネットのように落下していく。
- それに気を取られた隣のウィンダムウェーブは、ナツミのライフルの直撃を受け海の藻屑と消える。
- さらにリュウは上空で急旋回すると中央付近にいるウィンダムウェーブを立続けに切り裂く。
- その部隊はそれであっと言う間に総崩れになった。
- 残ったMSを相手にしながら、リュウはまだ生き残っている空母艦に通信を送る。
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- 「最後まで諦めるな。ここで諦めたら再びオーブが焼かれることになる。それだけは絶対に阻止するんだ」
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- 言いながら先ず対峙した部隊を全滅させると、さらに敵陣深く飛び込んで切り崩していく。
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- そのリュウの言葉はオーブ全軍に電光石火に伝わった。
- そこにオーブでも伝説と謳われる黄金のMSが登場し地球軍を1個小隊で次々に退ける活躍を見て、オーブ軍の士気は上がり少しずつ盛り返し始めた。
- 戦闘は熾烈を極めたが、オーブ市街地への被害はまだ少しも許していなかった。
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- しかしその善戦の中においても、次々に味方機が信号を断つ場所があった。
- リュウはそこに強敵がいると推測してそのポイントに目を向ける。
- そこでは初めて見るMS3機がオーブの艦隊を次々に沈めている。
- その3機が一番強敵だと直感的に感じたリュウは、3機を抑えるべく方向転換をして勇ましくも立ち向かう。
-
- 「何だあの金色の奴は?」
-
- 一方のドロムも目ざとくアカツキ改を見つけていた。
- 突然派手な出で立ちで戦場に現れたかと思うと、1つの部隊をあっと言う間に退けてしまったあたり、相当な実力を持った相手だということが窺い知れる。
- ゲーム感覚で戦場に出ている彼らとすれば、あまりにも簡単に進むゲームはすぐに飽きてつまらないように、少しくらいは強敵がいなければ多少の敵を屠ったとしても満足出来ないのだ。
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- 「ねえねえ、あっちからやっつけちゃおうよ。何だか面白そう」
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- 全く歯ごたえの無いオーブ軍を相手にするよりは、あちらを相手にした方が余程面白そうだ。
- 興味津々といった様子で、アリサは無邪気な笑顔を浮かべてドロムにねだる。
-
- 「あいつを他の奴に持ってかれるのはゴメンだぜ」
-
- ロッドも同感とばかりに、既にアカツキ改の方に意識も視線も向けている。
- 他のオーブ軍はすっかり侮ってしまって、余所見をしていても避けられると豪語する。
- 実際その通りなのだから、3人の戦闘能力はずば抜けていることは間違いないが。
- しかし精神的にはあまりにも幼い。
- 自分達が戦場に出てMSを駆るのも、そう教育されたからに他ならない。
- 戦闘を楽しむように、そう刷り込まれている彼らにとっては、自分の命が危険に晒されることすらスリルのあるアトラクションを体験しているようなものだ。
-
- ドロムも口には出さないが、ロッドと同じ気持ちだった。
- 味方でありながら他の地球連邦軍も雑魚どもじゃ無理だなと鼻で笑う。
-
- 「よし、フォーメーションΔーX(でるたふぃふす)であの金色をやるぞ」
-
- 目の前に立ちはだかったM−5をビームサーベルで切り裂くと、こちらもアカツキ改目掛けて方向転換をする。
- アリサとロッドは待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべて、素早くデスパイアの左右に展開し、両者は向き合った。
-
- 左に展開したインフェルノが先ず先制のビーム砲を放つ。
- それをリュウは難なくかわすが、回避した先にはシャダーが待ち構えていてビームサイズを振り被ってくる。
- さらにはデスパイアも正面からライフルを放ち、インフェルノからの第2砲もあってリュウはあっと言う間に取り囲まれる。
- 辛うじてそれらの攻撃を避け切ったが、内心強いと唸る。
- MSの性能もそうだがパイロットもエース級が乗っていると直感的に感じ取った。
- そしてそれは間違いでは無い。
- まだルーキーの彼女達には荷が重過ぎる相手だ。
-
- 「いいか、君らは絶対に接近するな。3機は固まったままあくまで遠くからの援護だ」
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- 3人娘も後方から必死に狙いを定めるが、相手の動きが速過ぎてロック出来ない。
- 自覚はしているが、自分達の実力が不足していることが悔しい。
- だが今すぐにはどうすることも出来ないので、リュウの指示に従って牽制にもならない射撃を繰り返すしか無かった。
-
- その間もアカツキ改と3機は肉薄する。
- 予想以上の強敵にドロム達は狂喜した。
- 自分達が完璧なフォーメーションを組んで一撃で落とせなかった相手は初めてだ。
- そのことは悔しいが、ゲームを越えた快感に笑みが抑えきれない。
- 自分達の限界を初めて感じる、越えられる、それを実感出来る時が来たのだと嬉々とした笑みを浮かべてアカツキ改へ挑みかかる。
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- 「なかなかやるじゃないか。よし、ΔーXからβーTに移行するぞ。次は決めてやる」
-
- ドロムは舌なめずりするように他の2人に指示を飛ばし、アカツキ目掛けて移動する。
- それに呼応して、アリサとロッドはさっと陣形を位置取る。
- 相手の強さや特性によって、フォーメーションを瞬時に変えられるのが彼らの特徴であり、今までのエクステンデントには無かった強みだ。
- 今度はシャダーが1機で突撃し、デスパイアとインフェルノは縦に並ぶような形でアカツキ改を狙い撃ち援護する。
- リュウは歯を食い縛って体に掛かるGに耐えながら、シャダーの振り下ろすビームサイズとデスパイアのライフルの連続攻撃をかわしていたが、インフェルノのビーム砲がアカツキ改についに命中する。
- しかしアカツキ改には、オーブが独自に開発した対ビーム兵器の防御システム、”ヤタノカガミ”が備わっている。
- リュウは攻撃を避け損ねたが、アカツキ改は胸部で受け止めたビーム砲をインフェルノ目掛けて跳ね返す。
- アリサは驚き慌てて回避行動を取る。
- それは間一髪インフェルノを掠めて、オーブの海を焼いた。
- そのビームの光を見送ってから、アリサはキッとアカツキ改を睨みつける。
- 一度ならず二度も攻撃を防がれ、しかも二度目はあやうく機体を傷付けられそうになったことに怒り心頭だ。
-
- 「何やってんだよこののろま」
-
- インフェルノの危機にロッドは毒づく。
- 連携が取れるとは言え、彼ら個人の仲が良いかと言うとそれは別問題のようだ。
- あくまで一糸乱れぬ連携を見せるのはそう仕込まれたからであって、彼らにとって仲間でありながらライバルなのだ。
- アリサはロッドに小馬鹿にされてさらに怒りが増す。
- 可愛らしい顔を歪めて、先ほどまでとは一転して別人のような声でがなりたてる。
-
- 一方のリュウは助かったことに安堵する。
- しかしそれも束の間、強力なビーム兵器に機体へのダメージはほとんど無くても体勢は大きく後ろに弾かれた。
- それをチャンスと、シャダーがビームサイズを振り被って襲い掛かる。
- デスパイアもビームブーメランを投げつけ、回避するよりもその攻撃がアカツキ改に命中する方がどう見ても早い。
- 他のオーブ軍よりも多少は手応えがあったが、所詮こんなものかと少しガッカリした様子で止めを刺しにいった。
- アリサは他の2人に後れを取ったことに、悔しげに地団駄を踏む。
- リュウは迫る攻撃を冷静に視界に捉えながら、折角の力を早々とこんな所で失ってしまうことに歯噛みし、己の死を覚悟した。
-
- しかしアカツキ改が破壊されることも、リュウが死ぬことも無かった。
- アカツキ改に攻撃が当たろうかという正にその瞬間、ビームブーメランは突然爆発して粉々になり、シャダーとアカツキ改の間には一筋のビームの光が走り、ロッドは咄嗟に身を翻してアカツキ改から離れる。
- ドロム、アリサも何が起こったのか一瞬理解出来ず、攻撃の手は一時的に止まった。
- リュウも驚いてビームが飛んできた方向を振り返る。
- そこにはアルティメットフリーダムが、神々しくも眩い光を背負って舞い降りてきた。
-
- 「こちらはフリーダム、ミライ=ヤマトです。アカツキのパイロットの方、聞こえますか」
-
- ミライは地球連邦軍のオーブ侵攻の報を受けて、たった1機だが、いやたった1機でも宇宙から援護にやって来たのだ。
- 聞き覚えのある声、名前にリュウは驚く。
- 彼女は宇宙へと帰った筈なのに、しかもフリーダムなどに乗って此処に現れたのか。
- 思わず素っ頓狂な声で尋ねる。
-
- 「ミライ様!?ミライ様が何故そんなものに?」
-
- その声はミライにも聞き覚えがあり、すぐに誰なのか理解した。
- アカツキ改にリュウが乗っていることに驚いたが、すぐに気持ちを切り替え、次の行動へと移る。
-
- 「それはまた後ほどお話しますわ。それよりもあの3機の相手は私がします。リュウさんは他のオーブ軍の援護を」
-
- 言うなりデスパイアら3機に果敢に立ち向かっていく。
- アカツキ改との戦闘を少しだが見て、相手が強敵なのは重々分かっている。
- だからこそ自分が立ち向かおうと言うのだ。
- 少しでも自分が3機をオーブ軍から遠ざけて、その間にオーブ軍が盛り返すことを信じて。
-
- ミライは3機の息の合った攻撃を紙一重でかわしながら、その間隙を縫ってライフルを両手で水平に構えると反撃に転じる。
- ドロムもロッドも呻き声を漏らして回避行動を取る。
- アカツキ改よりもさらに強敵の出現で、ドロム達の興味はすぐにアルティメットフリーダムへ移った。
- 他には目もくれずにアルティメットフリーダムだけにターゲットを絞って、集中砲火を浴びせる。
- しかしミライも体に掛かるGに耐えながら、弾けた意識の中でそれらを冷静に捉え、紙一重でかわしていく。
- 正確な攻撃と隙を与えないフォーメーションは見事だが、こちらも負けられない思いを背負っている。
- 1人では相手をするのが正直苦しいが、3機を引きつけることでオーブ軍が地球連邦軍を押し返せるのならば、ここは絶対に引くわけにはいかない。
-
- 「オーブは絶対に焼かせません!」
-
- 強くそう思いながら、ミライは使用出来る火器の全てから閃光を放った。
- ドロム達は舌打ちをして何とか砲撃を回避すると、なかなか思うとおりに相手に出来ないアルティメットフリーダムに対して苛立ちを募らせる。
- それがますます3人をアルティメットフリーダムの相手に集中していく。
-
- リュウはそのミライの実力の高さに改めて舌を巻きながら、戦闘に介入することは却ってミライの足を引っ張ることになると悟る。
- 慣れない機体と言う事を差し引いても、あそこまでMSの力を引き出すことも操ることも出来ない。
- そんな自分が情けなくもあるが、今はオーブを地球連邦軍から守ることが先決だ。
- 感傷に浸る間もなく、ミライの言葉に恥を忍んで甘える。
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- 「ここはミライ様に任せよう。俺達は他のオーブ軍の援護に向かう」
-
- 言うなりクルリとミライ達の戦闘に背を向けて、他の地球連邦軍に向かっていく。
- 誰が乗っているかもよく分からない3人娘はまだ戸惑った様子だが、ともかくあの3機をアルティメットフリーダムが抑えてくれているのなら、オーブ軍はまだまだ押し返すことが充分可能だ。
- 気持ちを切り替えて他の地球連邦軍に向かっていくアカツキ改に遅れじとフットペダルを踏み込む。
- これにより両軍は膠着、拮抗状態になり、地球連邦軍とオーブ軍との戦いは最も苦しい佳境の時を迎えようとしていた。
-
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